秋田に戻った若い夫婦は祖父のお陰ですんなり町の町営住宅に入居する事ができた。
通常、町営住宅に入居する為にはいくつかの条件をクリアしなければいけない。
けれども雪の両親は簡単に入居することが出来た。
雪の父親の父親、祖父は町の有力者だった。
雪はカンの鋭い子供だった。
目に見えるもの以外の何かを感じ取ることができた。
夜、布団に入ると、どこからともなくヒソヒソと誰かの話し声がする。
両親のではない誰か他の大人達が話す声。
けれどもその話し声は不思議と怖い感じはせず、いつも雪はその話し声を聞きながら安心して眠りにつくのだった。
カンが鋭い雪は新しい事にとても臆病で受け入れるのに時間がかかった。
自分にとって大丈夫かそうでないか。
ハッキリとわかるまで近づくことが出来なかった。
それは地元の子供達に対しても同じだった。
なかなか打ち解けようとしない雪に子供達はだんだん苛立ちはじめた。
雪の話す標準語と、どこか都会の雰囲気が地元の子供達を更に苛立たせた。
雪にはなかなか友達ができなかった。
そうして雪は家から近くの稲荷神社で一人で遊ぶのが日課になっていった。