託児所の帰りに母は決まって錦糸町駅前のマクドナルドでオレンジジュースとポテトを買ってくれた。
親子3人ですむ風呂なし6畳のボロアパートはそこからバスに乗って数十分のところにあった。
雪深い東北から駆け落ちし、所帯を持った若い夫婦2人なりに一生懸命に都会の生活を生き抜いていたが、それもそろそろ限界だった。
昭和50年、日本が高度成長真っ只中の明るい空気の中、若い夫婦は東京を後にし、郷里の秋田へ帰っていった。
娘の雪は2才半。
雪という名前は母が
『秋田の雪が恋しいなあ』
と思い、娘につけた名前だった。