低温調理に必要な温度を時間を決定する際の問題発生。
赤身肉(筋肉)については安全の観点の推奨レシピ(温度と時間)が公開されている。
バラ肉のブロックは安全の観点の推奨レシピ(温度と時間)が公開されていない。
バラ肉の筋肉層と脂肪層が積層されており、脂肪層は熱を伝えにくいので赤身肉より温度を上げるか時間を延長する必要があることは間違いないが、、、、
それぐらい安全側に振ればいいのかわからん!!
と言うことで、、、
無償のソフト(Femetet)を使って熱伝導解析を実行しようと思いましたが、脂肪の融解熱が扱えず、無視もできずで解析をあきらめました。
ここまでが昨日の話。
そして、ここからが今日の話。
結論から言うと、無償ソフトでも融解熱が扱えました!
Femtetでは融解熱等の相変化を扱えないと思っていたので、他の無償ソフトを物色していましたが短期間で使いこなすのは無理そう、、、
有償ソフトはあり得ないくらい高額だし、、、
なので今あるソフトで何とかならないかなと考えました。
案1
固体と液体の界面に熱抵抗を設定する。
解析ステップ毎にモデルを作り直す機能があればできるかもしれないけど、できそうもないので却下。
案2
相変化が起きる温度付近で比熱容量を極端に大きくする。
相変化付近で熱を吸収して熱の移動を邪魔してやるイメージです(詳細は後述のリンクを参照してください)。
水でトライすると相変化に指定した温度付近でプラトーが現れ、熱の移動を邪魔(温度上昇を抑制)することができることを確認できました。
しかし、比熱容量をどれくらい大きな値にするすれば良いのかわかりません。
とりあえずは、適当に入力して解析を回して、熱収支の積算結果が理論値に適合するように相変化温度付近の比熱容量の大きさを調整すればいいか?
でも、ちょっと面倒。
と言うことで何か設定の目安になる資料が無いのかと探すと、、、
ありました。
2013年 岩手県立大学 本間義規教授の報告
https://core.ac.uk/download/pdf/229825026.pdf
そのものズバリの方法がわかりやすいグラフ付きで紹介されていました。
車輪の再発明とは、このことですね~
まぁ、無駄な思考時間だったかもしれませんが、考え方は間違っていなかったということで、気を取り直して進みます。
そのグラフタイトルに『エンタルピー法における相変化熱のモデル化』と記載されています。
色んな解析ソフトの相変化を扱った解析事例でエンタルピー法って書いてあったことを思い出しました。
もっと難しいことをやっていると思ってた(笑)
早速、論文を参考に比熱容量を設定して、1gの-10℃の氷を+10℃の水になるまで加熱してみます。
イメージ通りの温度変化。
入熱量(J)の比率も理論値(手計算)と一致しているので問題なさそうです。
この方法であればバラ肉の熱伝導解析ができそうです!
水では相変化が起こる温度域を±0.5℃(-1℃から0℃)に設定しましたが、獣脂は様々な脂肪の混合物なので融点の幅が広いらしいので±3℃くらいに設定ですかね?