『どうしても生きてる』
朝井リョウ

6つの短編集。
救いようがない状態でも、生きていかなければならない。え?この先どうなるの?で終わってしまうものもある。
この先も人生は続いていくからね。どうしたって生きていくしかないよ、と作者から言われているよう。

どうしようもない状況で、うーん…と考えさせられてしまう結末が多かったけど、最後の【籤】は、気持ち良く読み終えることができた。
これまでの外れ籤を、最後にひっくり返していくのが良かったな。
うまく世渡りしていっているようで結局うまくいかなかった人々が、救われないままなのが、朝井作品。やっぱりいい人だった、とはならない。

【そんなの痛いに決まってる】は、なかなか際どい話。
心のままに泣いても喚いても叫んでも驚かない人がひとりでもいれば、人は、生きていけるのかもしれない、というラストが、刺さった。
吉川もそうなのかも、と気付く良大がすごい。

うわぁ、そうだよなぁ。
そういうことかぁ。
と、人間の際どい部分を見事に言語化しちゃう朝井リョウさん。
『正欲』の帯に、「もう読む前の自分には戻れない」というようなことが書いてあった。まさにそれ。
朝井リョウさんの本は、そういう類のものが多い。
人の心を抉るような、心のさらに内側にがつんと触れてくる。

寺地はるなさんの作品は、優しくて温かい世界に満ちているから、その逆かな。

自分より年下の異性が、こんなにも幅広い人々の描写をしていることに、いつも驚く。
一体、日頃からどんな生活をしていれば、老若男女のプライベートや頭の中、感情の変化まで事細かに描写できるのだろうか。
作家って、すごい。