『空にピース』
藤岡陽子/幻冬舎
展開は、面白かったです。
小さな伏線の一つ一つが、少しずつ回収されていき、繋がっていく。
飽きることなく、どんどん読み進めました。
最高は忙しかった気がしますが、しっかりタイトルに繋がり、気持ちよく終わりました。
問題山積みのクラスを担任した若い女性教師が、奮闘しながら、一人一人の児童に向き合う物語。
気になる点としては、ネガティブキャンペーンかな、と思うくらい、先生という仕事の大変さが描かれていました。
これだけ熱心な先生が担任してくれたら、救われる子どももいるでしょう。
これが現実なのか、誇張なのかはわかりません。
途中、「教師の仕事でないことはわかっている」「これは私の仕事だ」とありますが、こういう先生、私は共感できません。
管理職に報告せずに動いたり、自分の連絡先を教えたり、一人で家庭に踏み込みすぎたりと、組織としてはやってはいけない個人プレーの連続。
こんなことをしていては、いざというとき、自分も児童も守れません。
また、自分の子どもがいたり、何かしら家庭の事情を抱えていたりしたら、ここまでするのは難しい。
いつも時間を気にして仕事しているのに、児童のプライベートにまで付き合うことはできません。
冷たいかもしれませんが、相庭の考えとが現実的だと思ってしまいました。
藤岡さんの作品は、以前『金の角持つ子どもたち』を読みました。
男の子たちが、とても素直でいい子に描かれますよね。優しくて、友達にも自然に手を差しのべられる子。
理想的な男の子像です。
ただ、この『空にピース!』に登場するような子達は、理想像に当てはまりにくいと思います。
家庭環境に育ったら、1年くらいじゃ目に見えて変わりません。
また、もっとすれていて、人との関わりが難しいでしょう。
描かれているのは、素直で明るくて優しいクラスですが、実際には、あそこまでいい子は揃わないと感じました。
裏表なく、学校での顔と家庭での顔が同じ、というのも、小学6年生としてはどうなのかと思います。
細かい設定を見てしまうと、突っ込みたくなってしまうのですが、ストーリーとしてはおもしろいです。
子どもを取り巻く現代社会の課題もよくわかり、読みやすかったです。