学生が次々宿舎に訪ねてくれるようになっていた中、12月に入った日曜日にケイ・ショウロとヨウ・ハイジエという2人の2年生が昼食を作りに来てくれた。
   この2人はいつも教室の最前列左隅の席に並んで座っていた。揃って成績はよく、その後実施した期末試験では学年2クラスの6人同点のトップであった。彼女らはルームメイトではなく、共に他の学部の学生の部屋にポツンと1人でおり、郷里も濰坊市から遠い内陸の方であったそんな境遇から結びついたことを後で教えてもらった。とにかく2人はいつも行動を共にし、極端に言えば寝る時とトイレ以外は一緒だと言っていいくらいなのだ。私から見ると一卵性双生児以上の仲良しであった。
   昼食を作りに来るというのでモリキさんにも声を掛けた。2人はそれを聞いた時困った顔をした。イヤだったようで、以後私はモリキさんに声を掛けることをやめることになった。ともかくその日はモリキさんが食事をして帰った後も2人は夕方まで宿舎で過ごした。これを契機にケイさんとヨウさんは頻繁に遊びに来るようになった。2人なのでこちらからも買い物や手伝いなど何かと頼み易かった。なにせいつも一緒にいるから相談して連絡するということがない。返事は即決なのだ。濰坊に滞在中は多くの学生に囲まれて楽しく有意義に過ごすことが出来たが、中でもこの2人は一番の功労者だと私は感謝をしている。彼女たちも私の帰国後に研修生として日本に来てくれて、「大学生活の恩人であり、今は日本の父さん」と言った。教師冥利に尽きる言葉である。

   
初めての食事作りのキッチンで/その後もよく食事を/3人で散歩にも出かけた