中国の大学入試「高考(ガオカオ)」が7日、全国で始まったと新聞で報じられた。「高考」は全国統一の大学入学試験の略称である。
私は中国の大学で日本語教師を勤めた時、学生達からこの高考の話しをよく聞いていた。
中国では日本のような私立の大学は無く、国立や省立、市立などの公立ばかりであり、更に言うと4年制の「本科」と3年制「専科(又は)大専」に分かれる。
大学進学志望者は全員この試験を受けなくてはならず、その結果によって志望の大学を決めることになる。つまり志望校・志望学部学科のレベルと相談して選ぶのだ。

私の勤めた大学は山東省立で、専科の経済商科系大学であった。更に言うと、私はその中の「商務外語学部日本語科 外国人専門家」、つまりビジネス日本語教師ということでの招聘ビザで入国した。3学年で学生総数8千人ほどの全寮制のキャンパスであった。

話戻して、学生達は山東省内の各地から集まっていた。青島のような日本でも名前の知られている都市の出身者もいれば、農村部の出身者も少なくなかった。
学校のあった維坊市は人口700万人ほどで、市内には国立の総合大学や医科大学もあれば、3年制の専科大学もあったが、どこも農村部出身の学生が少なくなかったようだ。

さてそんな中で、中国は「一人っ子政策」で学生達には兄弟はいないと思っていた私だが、かなり多くの学生から兄弟姉妹の話しを聞いて、当初は「???」と思った。しばらくして、農家では第一子が女だったら二人目の子が認められると知った。農家の後継ぎが必要だから、という訳である。ところが兄弟姉妹三人なんていうのも珍しくないと分かった。
さらに一旦都市に出た者は卒業後、ほとんど故郷に戻らず都市で生活を続けていることも知った。
それは日本帰国後に分かったのだが「都市と農村部では教育や医療、社会保障の制度が違い、都市生活者が恵まれているため、農村部出身の人は一定の条件を取得して都市住民になることを目指している」ということなのだ。
その典型的な形が、一族で子弟を都市部の大学に進学させ、都市部で一定年数就職させて都市住民の資格を得させるのだそうで、なるほど農村部出身の私の教え子が卒業後故郷に戻ると言うケースをほとんど知らない。
「WeChat」という日本の「LINE」と同じメッセージ・アプリで繋がっている20名ほどの教え子は現在皆、都市部に住んでおり、高層マンションに住む者も少なくない。
私が15年ほど前に日本語教師として初めて赴いた時に抱いていた中国のイメージとは大変な違いだな、と「高考」のニュースに接して思った次第である。