今回は、日常からできる災害対策について、特に高齢者を守るための視点からお伝えします。
日本は災害大国!高齢者への影響は甚大
みなさんは、世界で起きるマグニチュード6以上の地震の約2割が日本で発生していることをご存知でしょうか? 近年では、地震だけでなく、台風や大雨による風水害も深刻な被害をもたらしています。にもかかわらず、日本の防災対策は決して十分とは言えません。
災害は突然やってきます。その時、最も危険なのは60歳以上の方々です。東日本大震災では、亡くなられた方の約65%が60歳以上の方でした。大規模災害における人的被害は、高齢者に集中する傾向があります。
さらに重要なのは、「災害関連死」の存在です。災害で亡くなる方の約8割近くが、建物の倒壊や津波に巻き込まれて命を落とすだけでなく、被災生活中に病状が悪化したり、過労や自殺によって亡くなっているのです。これらは「助けることができたはずの命」であり、避難のための防災だけでなく、「生き続けるための防災」も非常に重要になります。
今すぐできる!自宅での災害対策
まずは、ご自宅でできる簡単な対策から始めましょう。阪神淡路大震災では、負傷者の46%が家具の転倒・落下が原因でした。ガラスの飛散を含めると、なんと75%の人が家具やガラスが原因で怪我をしているのです。
1. 家具の転倒・落下防止対策
家具の転倒防止にはいくつかの方法があります。
- 効果の高い固定器具の使用
- 最も効果が高いのはL型金具です。
- その他、ベルト式、ポール式、マット式、ストッパー式などがあります。
- 賃貸住宅や壁の材質の問題でL型金具が難しい場合は、天井と家具の隙間にポール式器具、家具の底にはストッパー式またはマット式器具を設置することで、L型金具と同等の強度が得られます。
- 身近なものでできる応急対策
- すぐに器具を用意できない場合でも、ダンボールや新聞紙、滑り止めシートで応急対策が可能です。
- ストッパー式器具の代わりに: 新聞紙などを折りたたんで敷き、家具を壁側に少し傾斜させます。
- ポール式器具の代わりに: 空のダンボール箱を家具と天井の間に詰め込みます。隙間が2~3cm程度残っていても問題ありません。上部に新聞紙などを敷き詰め、下部に滑り止めマットを敷けば、ほぼ隙間がなくなり有効です。多少見た目は良くありませんが、お金をかけずに効果が得られます。
- 家具の配置転換
- 寝ている場所に家具が倒れてこないよう、向きや位置を変えましょう。
- 廊下や出入り口など、避難の妨げになる場所には大型の家具や家電を置かないようにしてください。
- 棚の中身・家電の固定
- 棚の中身が飛び出さないよう、落下防止器具や落下抑制シールを活用しましょう。
- 器具が使えない場合は、重いものを下に、軽いものを上に置くなど、重心が下になるように工夫してください。
- 薄型テレビやパソコンなどは不安定で危険です。専用の固定器具や粘着性のマットを使って落下を防ぎましょう。
- テレビなどの家電製品は、窓ガラスから離れた位置に置きましょう。窓に当たらない方向への配置も重要です。
- ベランダや窓の前に植木鉢などが無造作に置かれていないかも確認しましょう。
介護事業所で日常からできる防災対策
介護事業所では、多くの高齢者が利用しています。いざという時に職員だけで高齢者の安全を確保するのは容易ではありません。
1. 身体能力の維持
- 災害時にスムーズに避難できるよう、丈夫な足を維持することが重要です。
- 運動機会や歩く機会を確保できていますか?元気で暮らすこと自体が防災につながります。
- 最近では、運動だけでなくタンパク質の摂取も筋力低下を防ぐと言われています。利用者の方々が食事をしっかり摂れているか、体重が減っていないかを確認しましょう。
2. 定期的な訓練と見直し
- BCP(事業継続計画)訓練は、施設系では年2回、その他では年1回が義務付けられています。しかし、これは最低限の回数です。
- 「災害レクリエーション」として、毎月避難訓練を実施することも有効です。回数を重ねるごとに、避難にかかる時間は改善していきます。
3. 地域との連携を強化
- 災害時には、職員だけでは対応しきれないこともあります。普段から地域の方々との顔見知りを増やし、いざという時に助け合える関係を築いておくことが重要です。
- 交流を深める手段の例
- ご近所さんへの挨拶
- 車ですれ違う時の会釈
- 事業所の近くに行きつけのお店を作る
- 地域の行事やボランティア活動への参加
- 町内会長、民生委員、公民館など、地域の誰かと関わりを持つ
まとめ
日本は災害から逃れることはできません。だからこそ、日頃からの備えが重要になります。特に高齢者を守るためには、自宅での家具固定や配置の工夫、そして介護事業所における利用者の身体能力維持、頻繁な訓練、地域との協力関係構築が不可欠です。
これらの対策は、今日からでもできるものばかりです。災害は突然やってきますが、備えがあれば被害を最小限に抑え、命を守ることができます。