ずっと
私はこの旗を掲げ
先頭を揚々と歩き
一人一人と言葉をかわし
志を重ねてくれた皆を
私の背中で
行く先を示さなければならない
そう思っていた
掲げる旗は重く
安々と歩むことは出来ず
言葉を交わせど
人は集まらず
志を重ねてくれた皆と
足並みが揃わない
先の見えぬ道は怖く
遠く想う人の心に
私の掲げる旗を
槍が如く突き立ててしまうことを恐れ
ただ、独り歩んでいる足取りが
周りを置き去りに
進め
進め
進め
進んで
進んで
進んで
切り払い進んでこそ
人は集まり
数は力となり
力を示すことで
私は私の愛を貫き得ると
勝手に思い込んでいた
いま、凍える心は
例え報われること無く殉じ
血に塗れようとも
己が志を貫いて
いつか
あの方が輝きを取り戻すならば
その礎となるならば本望
勝手にそう思い込んで
一人道を切り開いている
勝手にそう思い込んで
その癖
怖さに震え
寵愛を失うことを恐れ
征くも戻るも出来ぬところに
一人入り込んでしまった
そう思っていた
志
重ねた想い
ある夜
同胞たちは語ってくれた
私の掲げるこの旗は
私一人の手で掲げている訳ではないと
この手にかかる
重さと
怖さが
嘘のように軽くなった
そして
私が志を捧げたあの方は
私の捧げた誠を
無下にする方では無いことを
思い出した
ならば
敢えて
敢えて
敢えて
何も知らぬふりをして
炎のようで
炎でない
この心を
放とう
いつか
色々なしがらみと
時代が越えさせなかった垣根を越え
その炎が如き心を
焚き火如く囲んで
熱く
熱く
熱く
この舌で
この筆で
楽しき戦いを成すが為
炎のようで
炎でない
この心を
放とう
矢の如く
そう。
旗を握る手は
温かい
幾本もの手で
支えられている
私は一人ではないのだから。