分かってはいるんだ
絶対に必要なこと
命がかかっていること
伝えなくてはならないこと
でも。
四半世紀経っても
震えるんだ
怖いんだ
聞きたくないんだ
見たくないんだ
西の大地が揺れたとき
私達はそこにいたんだ
街々の瓦礫
崩れた高速道路
漏れ出したガスの匂い
テレビのニュースは
絶えず焼け落ちる街を映し続けていた
分かってるんだよ
其処に住んでる人達だけの話じゃない
喩え今、其処に居なくても
其処に縁の在る人は
日本中に居るんだ
だから
伝えなくてはイケないことは分かる
分かるんだけれど
大好きなラジオの
何度も繰り返し聞くアーカイブに
地震速報が残るのは
堪らなくキツイんだ
キツイんだ
キツイんだ
キツイんだ
あの恐怖が蘇るのよ。
焼け落ちた神戸の街の風景が
消えない記憶を何度も蘇らせ
狂える焦燥に苛まれながら
それでも
私はアーカイブを繰り返す
あの人の声を聞きたさに。