激甚な台風が過ぎ
各地の有様を見て
心に泣きが入った
全然被災もしていないのに
【死】というものを意識し
それがとてつもなく怖くなった
私には
失うものなど何もないハズなのに
この世から消え
忘れられてしまうことが
たまらなく怖くなった
震える私の手は
数少ないすがるものに
私のことを覚えていて欲しい
たった一人の人に
私の弱いところを晒した
素直に【死にたくない】そう伝えた
あなたに【忘れてられたくない】そう伝えた
たくさんの面白おかしい
【心笑】にかくして
潰れそうな【乞笑】を送った
私には【声】がない
文字として書き上げる
それが全てだ
私には【声】がない
そして私は私の【声】を
あの人に託した
あの人は
私の【乞笑】は
【声】には出さなかった
代わりに
多くの人の【声】が集まる中
あの人はいつも以上に
私の【心笑】をあの人の【声】にして
たくさん
たくさん
笑ってくれた
たくさん
たくさん
笑ってくれたんだ
私の心の怯えが
少しずつ
少しずつ
ほぐれてゆく
私の【乞笑】に応えて
私の【心笑】を
【声】にしてくれた
あの人は
何も言わず
けれど
きっと
私がいつの間にか消えてしまっても
決して忘れない
その【応え】を
たくさんの笑い声で
返してくれたんだと思う
ありがとう
安心できたよ
泣きの入った心に
光が指したんだ