真っ暗な中、なんかシェイクされている
私に起こったのはたったそれだけだった。
瓦礫の下敷きにもならず、
火事に巻き込まれもせず、
自転車に乗って、街の様子を見に行った。
友達たちと五人で。
大事な友達が、誰一人欠けることがなかったこと。
それも私にとってはとても幸せだったことなんだと思う。
私は震災で何かを失っていないの。
私は震災で何も失っていないの。
幾度目の春が死に、
幾度目の春が生まれて。
毎年ニュースで震災@年目というニュースを見る。
きっと忘れてはいけないこと。
きっと語り継いでいかないといけないこと。
失った人にとっては、
無かった事になんてできないこと。
でも、
私にとっては。
もう忘れさせてほしい
そんな出来事。
何も失わなかったから、
辛くなかった訳じゃなく。
何も失っていないけれど、
痛くなかったわけじゃなく。
思い出しては「かさぶた」をむしるような、
それを不毛だと思ってしまう
我侭な心を
毎年もてあましてしまうのです。
----------------------------------------------------------
本家「サウンド・コンシャス」ブンブンGMの同名コーナー宛に
送った作品です。
以下、
この作品を送った際にメールに添えたコメントです。
----------------------------------------------------------
今から8年前。
自分のブログに載せた「しんさい」という作品を
再編集したものです。
本当はもっと長ったらしい作品でした。
折りに触れ、
あの震災を思い出さざるを得ない
神戸育ちの私が
もうやめて!!
と言いたくなるほど、
毎年ニュースで思い出さされるあの光景への
抵抗感がないといえば嘘になります。
誰が見ても幸せになれないあの光景を
なんでこう、毎年映すのか。
忘れてはいけない。
忘れさせて。
何の被害もなかった私でさえ。
2つの間で揺れています。
24年たった今も。