羽化 | Forest

Forest

なんか詩とか描いてます

あなたの歌が春風に乗り

春風に乗り 空を渡る


多くの窓辺は空を見上げ

春告げる歌に心を揺らす夜


暖かいね

外の風の痛さを

あなたの声が柔らかく包むよ


みんなにツバサを与える

みんなそれぞれの空に

羽ばたくの。



でも、歌姫は飛べているのかしら

大空を舞っているのかしら


住み慣れた街のネオンを

見下ろすことが出来ているのかしら


押し返し届く声に耳を傾けることは出来ても

それぞれの戸口へ

みんなの笑顔を覗きに行くことはできているのかしら


歌姫


あなた自身のツバサは?


あなたがもし

みなの宝物であるために

宝の箱の中に収納(なお)されたまま


あなたがもし

みなの宝物であろうとして


手も足も伸ばすことを

自ら封じているのだとしたら


もし…


本当は自由に飛びたいのだとしたら。


アナタハ アナタ ジシンノ ツバサヲ ヒロゲテ



あなた自身のために飛びたい空があるなら

舞い降りたい街があるなら


あなたはあなたの

衣を脱ぎ捨て

新しい翼で飛び上がることが出来る


アナタハ ダレデモナイ アナタトシテ


オシイレの中の

小さな小さな

鈴の木の碧が


魅せる鳥となり羽ばたき


今、森のツバサであるように


あなたも姿を換え


あなたの辿り着きたい空へ

あなたの訪ねたい窓辺へ

あなたのそれぞれへの思いを

あなたでないあなたで


そっと

じかに


何にも縛られることはない

ナニニモ シバラレルコトハ ナイ


そして木の葉に紛れて

小鳥たちとともに


小さくさえずってみる


そっと

耳元で


そんな歌もあるんじゃないかしら。