遺産

岩稜と砂礫のみが続く
荒涼たる日本の頂点

「もうこれ以上はない」
誰もが知る当たり前の事実と
あっけらかんとした
済んだ空気感

辿り着いた者だけに
許されたひと時

恵まれた天候
経験者の先導

先人たちの手で拓かれた
頂への道

日々山に暮し
山を住処とする
小屋守の方々

パーティーの士気
引き合わせる縁

色々な偶然と
様々な助けの積み重ねが
ここまで押し上げてくれた

束の間の栄光
達成感の中の虚しさ

そんな全てをも飲み込むかのように
大きく開かれた火口

幾度かの噴火とともに

平野を生み
自らも形を変え

崇め
挑まれ続けた

信仰と文化の象徴

常に共にあり
守り伝えられた伝統が

世界に試されようとしている

ご覧いただき、ありがとうございます。

こちらをクリックしていただけると、励みになります。

今後も、応援よろしくお願いします！

夏至

徒長された日照の余韻
たそかれときの憂鬱

いつか訪れる人を待つ
泡沫の薄化粧

ご覧いただき、ありがとうございます。

こちらをクリックしていただけると、励みになります。

今後も、応援よろしくお願いします！

June Ephemeral

夏の走り
梅雨の谷間

木々の花を渡る
いっときの夢

雑木の木立
人の暮らし

儚い依代に集う
西風の妖精

ご覧いただき、ありがとうございます。

こちらをクリックしていただけると、励みになります。

今後も、応援よろしくお願いします！

讃歌

日差しに水も温み

起された土と戯れ

醸されるは混沌たる秩序

命を育む圃場となる

ひと苗

来たるべき豊穣を願いながら

生の坩堝へと稲を託す

団粒の作用により

手渡された早苗は

根を張り土を掴み

大地へと足を下ろす

田に渡る清浄なる風よ

あらゆる恙を吹き払い給え

風雨と日照りとを越えて

健やかなる実りを導かん

ご覧いただき、ありがとうございます。

こちらをクリックしていただけると、励みになります。

今後も、応援よろしくお願いします！

母

漣のしじま
有機質の溜まりより
生命は産声を上げ
分化の過程を繰り返した

生むもの
食べるもの
還すもの

巡り移る物質の輪廻

蒸散
降雨
星の自転
磁場の揺れ

大循環の風
月の導き

大気のうねりに汐が応える

全ての生命は
組織に海を宿し

また海とつながりながら
生きている

山も森も
田畑も

草木も人も
虫も鳥も

水が結ぶ
古の縁

ご覧いただき、ありがとうございます。

こちらをクリックしていただけると、励みになります。

今後も、応援よろしくお願いします！