シリーズ最終回です!

■「亥(い)の刻」(2123

 


漢方では五臓六腑の「三焦(さんしょう)」が担当する時間です。


漢方では、「“胆(たん)”が担当する子(ね)の刻(23-1)までに眠りましょう」といわれます。

質のいい睡眠のための対策は、亥の刻(23-1)までに行いましょう。

まずは亥の刻(23-1)を担当する「三焦(さんしょう)」の働きを見ていきましょう。


【 気と水の巡りを主る(つかさどる)

(出典:黄帝内経・難経)


全身の気(エネルギー)・水を巡らせる働きがあります。

三焦に不調があるとむくみや排尿トラブルを生じます。

 

三焦はなんとも不思議な六腑の一つで「名はあるが、形がない」と言われ、形や場所は様々な説があります。

六腑の一つであるほかに、五臓の位置を三つに分けて、「上焦(じょうしょう)・中焦(ちゅうしょう)・下焦(げしょう)」の「三焦」と表す考え方もあります。

 

それぞれの位置は、以下の通りです。

 

●上焦・・・心・肺(横隔膜より上)

●中焦・・・脾・胃(横隔膜からへそまで)

●下焦・・・肝・腎(へそより下)

 

※参考資料
「カラー図解 東洋医学基本としくみ」

    図説中医学概念より



【 「三焦(さんしょう)」の働きを高める21-23の過ごし方 】

 

心穏やかに過ごすのがポイントです。

 

(1)激しい運動は控え、深呼吸しましょう

 

   激しい運動は、呼吸が早くなり「心・肺(循環器・呼吸器)」に負荷がかかります。

   ストレッチ、ヨガ、瞑想、深呼吸をして心(こころ)と呼吸を落ち着かせましょう。

 

(2)飲食を控える

 

  『深更に至りて食すべからず。消化せざる内に伏せば病となる』

  『夜遅くの食事をしてはいけません、消化しないうちに眠ると病になる』と昔から言われています。(出典:養生訓)

   眠る前に食事をして脾・胃(消化機能)が働く最中に眠っても、身体は休まりません。

   この時間帯は食べないのがBEST!食べる場合は脾胃に負担をかけない軽めのものをよく噛んで食べましょう。

 

(3)入ってくる情報の量を減らす

   パソコンやスマホからの入る情報を減らして、目と耳を休ませて就寝の準備をしましょう。

 

(4)就寝する

   


   亥の刻に眠ると「三焦(さんしょう)」よって全身に気が巡り、陰陽の気がしかるべき位置に納まることで熟睡出来ると考えられています。

 

以上が理想ですが、2123にゆっくり出来ない方も多いと思います。

ぐっすり眠るための対策として、手軽にできる三焦経のツボ・経絡ケアをお伝えします。

 

「三焦(さんしょう)」の気が通る経絡は、「手少陽三焦経(てしょうようさんしょうけい)」といいます。

薬指から出発し、腕の外側を上がり、肩を通って首の付け根で左右の流れと合流します。

そこから首の付け根から背中にいき内部に入って三焦に降りていきます。

また首の付け根を上がり、耳の後ろを沿って眉毛にまで流れ、目尻のこめかみ寄りから始まる次の足少陽胆経(あししょうようたんけい)に繋がる流れがあります。

三焦経の簡単なポイントは、「手の薬指~耳までの流れ」と「胆経へとつながる」の2点を覚えておきましょう!

 

【ぐっすり眠るための三焦経のツボ・経絡ケア】

 

赤ちゃんがすやすやと眠る前に、手足や耳がぽかぽかと温かくなっているのを見たことはあるでしょうか?

実は赤ちゃんの眠る前の体の変化が、老若男女問わずぐっすり眠るためのポイント!

眠る時に温かくなるのは、自律神経の働きで末梢血管が拡張し、血液が巡ることで体内部の熱を放出しているからです。

手足から熱が逃げていくことで体の内部の温度が下がると熟睡できます。

 

●冷えて眠れない時は 「陽池(ようち)」を押そう!


冷えている人は一日を通して体温が上がりづらく、「体温を下げてはいけない!」と熱の放出を控えてしまいます。

その結果、寝る前の熱の放出、体温の変動が少なくなるために、寝つきが悪いなどの睡眠の不調が出てきます。

 

そんな時は、身体の温かいエネルギー「陽気」を全身に巡らせる、三焦経のツボ「陽池(ようち)」の出番です!

場所:手の甲側、手首をそらすとできる皺の中央より少し小指側にあります。


刺激すると体の陽の気が巡って温まると言われます。

左右のツボを6秒ほど交互に10回押しましょう。

またドライヤーで「陽池(ようち)」に温風を当てると、簡単に刺激と温めが両方できておすすめです。