■「巳(み)の刻」(9-11時)
漢方では五臓六腑の「脾」が担当する時間です。
漢方で考える「脾」の働きを見ていき、思い悩みに左右されないようにしていきましょう。
「脾」の働きは大きくは4つあります。
(1)運化(うんか):食べたものを消化吸収し、体に必要な“気・血・水”などに変化させ全身に運ぶ働き。
この働きが弱ると、食欲減退、消化不良、腹痛、軟便などの胃腸のトラブルが出てきます。
(2)昇清(しょうせい):“気・血・水”を上半身に送る働き。
この働きが弱ると、無気力・疲れやすい・むくみやすく・食後に眠くなるなどが出てきます。
(3)昇提(しょうてい):内臓を正しい位置に保つ働き。
この働きが弱ると、胃下垂・脱肛・子宮下垂などが出てきます。
(4)統血(とうけつ):“血”が漏れ出ないようにする働き。
この働きが弱ると、「血尿・血便・不正出血・月経量が多くなる・鼻血」などの出血症状が出てきます。
また、「脾」は「思い悩む」感情に強く影響を受けるので、悩みすぎないことが「脾」の働きを活かすために大切です。
【「脾」の働きを活かす巳の刻(9-11時)の過ごし方 】
(1)朝食をしっかり摂りましょう
前回書いた胃の時間帯(7-9時)で食事を摂っておくと、体に必要なパワーを「脾」が作り出してくれます。
(2)朝日を浴びましょう
朝は心も体も活発な時間帯!太陽から気(エネルギー)をもらいましょう。
(3)悩みは禁物!
悩みすぎは「脾」を弱めます。
悩みが出てきたら、窓を開けて深呼吸!
もしくは軽く散歩をして気分転換しましょう。
とはいえ現代社会はいろいろな情報が溢れていて、何が正しいのか判断するだけでも悩んでしまいますよね。
そこで、悩んだ時には「丹田呼吸」!
丹田呼吸は、瞑想や武道で用いられることから、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
瞑想は世界的にも話題で、YouTubeやNetFlixにやり方の動画が多く上がっています。
丹田(たんでん)は、おへそのやや下、お腹の中にあり、古代中国医学では、「丹」は不老不死の薬、「田」は産出する土地を意味します。
日本では丹田=腹として、「腹を割って話す」「腹が据わる」などの言葉があり、腹で考え、物事に動じない精神力を鍛える武道の鍛錬法としても行われています。
【 丹田呼吸法のやり方 】
(1)両脚を組み、あぐらをかいて座る。(椅子に座ってもOK)
(2)両手を重ね、女性は右手・男性は左手を自分の丹田(たんでん)の場所 に合わせます。
(3)頭部の百会(ひゃくえ※)を、天上から吊っているイメージで上に向けます。
※百会(ひゃくえ)頭のてっぺんにある少し凹んでいるところ
(4)呼吸は鼻から息を吸い、丹田に溜めるようにします。吐くときも鼻から吐くようにします。
・呼吸は“細く・長く・深く”。お腹は吸う時に膨み、吐く時には縮むようにしましょう。
・呼吸中に、悩み事や雑念が出てきたら、すぐに答える。もしくは呼吸に意識を集中しましょう。
・「気」は約30分で、体を一周するといわれます。(『黄帝内経』より)
9~11時の巳の刻に30分ほど時間をかけて行うのが理想的です。(最初は短い時間でもOK)
丹田呼吸のポイントは、呼吸によっておへその下の「丹田」に「温かい気」が流れているイメージを持つことです。
瞑想やヨガをしている方はよく「呼吸を観る」と言います。
一週間ほど意識的にやってみると違いが実感できます。
腹が据わって悩みづらくなり、悩みが少なったことで胃腸の不調が軽減することもあります。
次回は、午(うま)の刻(11-13時)です。
お楽しみに!