【 穀雨のコラム 子午流注(2)「子(ね)の刻」(23~1時) 】
■「子(ね)の刻」(23~1時)
漢方では五臓六腑の「胆(たん)」が担当する時間です。
この時間は、陰から陽へと気が交代するターニングポイントになります。
陰陽は、世の中のすべては「陰」と「陽」という性質を持ち、互いに協力・影響しバランスをとっているという考え方です。
光があれば影ができる、というようにどちらか一方だけということはありません。
心や気持ちを陰陽で見てみると、
陰(気)は「暗い、抑制、冷静、消極的、穏やか」な心。
陽(気)は「明るい、興奮、情熱、積極的、活発」な心を表します。
明るい日中は活発に考えて行動し、暗い夜は穏やかな心でリラックスして休息をとる。
このように陰陽が変化して、バランスがとれているのが一日のリズムとして良いのです。
「子の刻」(23~1時)は、真夜中で陰の気が多く、「胆」が担当する時間帯です。
夜にゆっくり休息をとることで、「胆」が日中に働き、「胆力」を発揮してくれます。
漢方で考える「胆」の働きは、以下のように大きくは2つあります。
(1) 消化吸収
「胆は清汁(清浄な液)を貯蔵・分泌」し、消化を助ける働きがあります。
西洋医学でいう、「胆汁(たんじゅう)」も、脂肪とタンパク質を分解する消化の働きがあり、胆汁の分泌が過剰だと下痢、分泌が少ないと便秘になります。
コレステロールの排出にも一役買っているため、とても重要な分泌物ですね。
(2) 決断力
「胆は決断を主る」「決断は胆より出ずる」と書かれています。(出典:黄帝内経素問)
漢方では、“胆”から決断する力(胆力)が生まれて、“胆”が物事の判断・決断をすると考えます。
昔から、度胸があり物怖じしない人を「大胆な人」や「胆力のある人」
ストレスやトラブルを前にしても、冷静沈着な人を「胆(きも)が据わっている」と言ったりするのは、この考え方から生まれた言葉です。
■「胆」の働きを最大限活かすための、「子の刻」(23-1時)の過ごし方
・日を跨がずに眠りにつく
・暴飲暴食をせず食べ過ぎない
・活動を控えて、穏やかな気持ちでいる
上記の3つが「胆」の健康をたもつために大事なことです。
「子の刻」の子(ネズミ)は夜行性で食欲旺盛ですが、私たち人間は夜はしっかり休み、食べすぎ注意!な生活を心がけていきたいですね。
とは言っても、現代社会で生きているとなかなか難しい点もあります。
「胆」の調子を整える方法の一つを、最後にお伝えします!
■ 胆の気を巡らせる!胆経叩き
「胆」の気が通る経絡は、「足少陽胆経(あししょうようたんけい)」といいます。
目尻のこめかみ寄りから始まり、側頭部、体側から足の外側を通り、足の第四趾(手でいうと薬指)で終わります。
太ももの側面部分を、上から下へ、経絡の流れに沿って叩く「胆経叩き」は、太もも痩せにもよく、下半身が太りやすいかたのマッサージとしてもおすすめです。
【 胆経叩きのやり方 】
お尻~膝までの太ももの側面を上から下に順番に叩きます。
力加減は軽く痛みがあるくらいで、一日あたり左右それぞれ50回ほど叩くといいですよ。
活動をはじめる朝に「胆」の経絡に沿って叩くことで陽の気が巡ります。
朝の通勤時や、電車を待っている時など「ながら胆経叩き」をおすすめします♪
「胆」を整えて「大“胆”不敵」を目指しませんか?
次回は、丑の刻(1-3時)を担当する肝経とその時間帯の過ごし方について語ります。
睡眠不足の方は必見です。
お楽しみに!

