本日は、「穀雨」。

 

“春雨降りて、百穀を生化すればなり”(暦便覧)

 

地上にあるたくさんの穀物が元気に育つよう、天からの贈り物恵みの雨がしっとりと降り注ぐ頃。

 


3日前の4月16日から立夏の前日5月4日までが、春の土用期間です。

土用とは、立春、立夏、立秋、立冬の前の約18日間のことをいい、「土旺用日」の略称です。

「土の力が旺盛で活発である時期」という意味で、紀元前中国・道教の陰陽思想の導師だった鄒衍(すうえん・紀元前3~4世紀頃)が万物自然の観照から得た「五行思想」に由来します。

季節の変わり目ですので、体調管理に気をつけましょう。

 


この頃には後天の気を作り出す、土気の「脾」(胃腸全体、消化吸収)の働きを良くしてあげることが大切です。

生もの、冷たいもの、甘いものの摂りすぎ、脂っこいもの等は控え、消化機能に負担をかけない食事で労りましょう。

「脾」の調子はくちびるにあらわれるので、くちびるの色つやが悪くなってきたら、それは胃腸からの危険サインです。

他にも冷えやストレス、食生活の乱れにも注意が必要です。

 

春の土用は木行・辰の月で、相克する干支は戌(金行・白)です。

戌(いぬ)の日に「い」の付く食べ物と、白いものを食べると良いと言われています。

いわし、いか、いも、いんげん豆、いちごに、白いものは大根、しらすなどがありますね。

また、春土用は「南東」の方位に神様がいるので犯してはならず、土を動かしたり、大きな音をたてるなどは控えた方が良いとされています。

 

 

ところで、最近「目の周りがピクピクする」ようなことはないですか?

この症状、現代医学では「眼瞼(がんけん)ミオキミア」といい、まぶたの周囲にある筋肉が収縮している状態です。

通常は片目だけで、自然に治まることが多いですが、人によっては数日症状が続きます。

長時間のパソコン・スマホによる目の疲労、睡眠不足、自律神経の乱れなど、色々なストレスが重なって症状が出ると言われています。

 

漢方では、この症状を「風(ふう)の影響を受けている」状態と考えます。

「風」の影響を身体が受けると、ふるえ、しびれ、かゆみ、けいれん(ピクピク)、などの症状があらわれます。

「風」の症状は、気まぐれに吹く風のように、急に症状が出たと思ったら、すぐに落ち着くという特徴があります。

 

また、風は春に起こりやすいとされており、五臓の肝(かん)が乱れている人ほど影響を受けます。

肝の乱れは目を通じてあらわれるので、目の周りのピクピクは、風の影響で肝が乱れているという身体からのサインと考えることができます。

「五臓の肝」が乱れると、他にも以下のような症状もあらわれやすくなりますので、チェックしてみましょう。

 

□ イライラしやすく怒りっぽい

□ ストレスをいつもより感じやすい

□ 目が充血しやすい

□ めまいや立ちくらみを起こすことがある

□ こむら返りがおきやすい

□ 生理痛がひどくなった

□ 生理不順やPMSが気になる

□ 爪が薄くてもろい

□ 気になる症状が変化しやすい

□ 視力低下、目が疲れやすい

 

では、「目=五臓の肝を整える」養生法をお伝えします。

 

●「肝」の高ぶりを抑える

 

セロリ、三つ葉、パクチー、シソの葉、春菊、などの香野菜を積極的に取りましょう。

香り野菜が苦手な方は、柑橘類をとるといいですよ。

お茶では、桑の葉やハブ茶(決明子)がおススメです。

栄養補給も必要ですね。旬の食材を意識して摂るように心がけましょう。

 

●ツボ

 

太衝(たいしょう):足の甲にあるツボです。

親指と人差し指の骨と骨の合流点にあるくぼみを痛すぎない程度にマッサージしましょう。

湯船の中でマッサージしたり、寝る前にほぐしておくといいですね。

 

●生活のリズムを整える

 

朝起きる時間は一定にし、疲れ具合によって夜は早めに寝るようにしましょう。

音楽に合わせて身体を動かすラジオ体操や、散歩などの単純な繰り返し運動がおススメです。

 

 

また、「肝」の高ぶりを抑えるのが、菊花です。

そして、「肝」に栄養を与えるのが、クコの実です。

合わせて、杞菊(こぎく)といいます。

この2つの組み合わせは、「肝」を整える最高の組み合わせです。

お気軽に平肝(へいかん)対策してみてくださいね!

 

【 杞菊茶 】

 


クコの実10g、菊花2gにお湯500mlを注いでお茶代わりに飲む。

ミントやレモングラス、桑の葉、ハブ茶をトッピングで加えてもいいですね。

 

【 杞菊酒 】

 

クコの実20gと菊花2gに氷砂糖8gをホワイトリカ―300mlに約1カ月漬け込む。

おちょこ1杯程度をお好みの割り方で飲む。

 

 

さらには、杞菊が使われている漢方薬もあります。

 

【 杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)】

 

杞菊地黄丸は、六味地黄丸(ろくみじおうがん)に、菊花とクコの実を加えた処方です。

 

効能効果は体力中等度以下で、疲れやすく胃腸障害がなく、尿量減少又は多尿で、ときに手足のほてりやロ渇があるものの次の諸症

「かすみ目」「つかれ目」「のぼせ」「頭重」「めまい」「排尿困難」「頻尿」「むくみ」「視力低下」

 

春から夏へ快適に生活するためにも、「肝」と「脾」のケアを少しだけ意識してみてくださいね♪