~経絡と時間の不思議な関係~



健康の基本は「規則正しい生活」から始まります。

決まった時間に起きて食事をし、夜は早めに休んで疲れを取ることがなかなかできないのが現代社会です。

漢方では「人は自然の一部であり、大自然に時計があるように、私たちにも体内時計がある」と考えます。

漢方的体内時計を動かすのは「経絡(けいらく)」です。

経絡と時間の関係を知り、規則正しい生活に役立ててまいりましょう。

 


中国最古の医学書と言われる「黄帝内経(こうていだいけい)」には、遥か2千年前からすでに人間のリズムと自然のリズムが深く関係していることが記されていました。

それが「子午流注(しごるちゅう)」です。



子午流注は中国伝統医学で言う”養生時計”、養生をするための1日の時間割のようなものです。

各時間帯に盛んになる経絡と臓器(五臓六腑)が当てはめられた「子午流注図」と共にお伝えすることにします。

不調の予防と改善に役立つ考え方としてご活用ください。

 

「子午流注(しごるちゅう)」の「子午」とは、「子の刻」「午の刻」のことで、24時間を2時間ずつに区切って十二支で表した際の、真夜中と真昼をさしています。

明治以前の日本でも、23時~1時を「子の刻」、11時~13時を「午の刻」と呼んでおり、現在でも使われる午前や午後はこの呼び方の名残になります。

「流注」は、エネルギーである気(き)と栄養の液体である血(けつ)が、身体の機能をあらわす十二の臓腑、十二の経脈(けいみゃく)に流れ注がれるという意味があります。

時刻ごとに担当する臓腑が決まっていると考えた、古代の人々の発想力が活かされています。

 

十二臓腑が正常に働くためには、気・血の巡りが良いことが大事です。

気・血に滞りがなく巡りが良いと、その時間を担当する臓腑がしっかりと活動してくれるので、身体を健康に保つことに繋がります。

 

 

(1) 「子」23時~1時:胆経

(2) 「丑」1時~3時:肝経

(3) 「寅」3時~5時:肺経

(4) 「卯」5時~7時:大腸経

(5) 「辰」7時~9時:胃経

(6) 「巳」9時~11時:脾経

(7) 「午」11時~13時:心経

(8) 「未」13時~15時:小腸経

(9) 「申」15時~17時:膀胱経

(10)「酉」17時~19時:腎経

(11)「戌」19時~21時:心包経

(12)「亥」21時~23時:三焦経

 

 

この体内時計は、大きく分けて“日光”と“食生活”2つで調整されています。

目から入る朝の光や規則正しい食生活は、体内時計を自然の24時間のリズムにリセットする為に大切な生活習慣です。

 

そのため、

 

■ 朝日を浴びる生活をしていない

■ 夜にずっと起きていて電気の明かりを浴びている

■ スマートフォンやパソコンなどをよく使う

■ 朝食を抜いている

■ 夜遅くの食事や暴飲暴食

■ 昼夜逆転の生活をしている

 

これらの生活をしている方は要注意です!

「朝ですよ!夜ですよ!」という情報が伝わりづらくなることで、体内時計がリセットされず、どんどん崩れていくようになるからです。

 


次回からは時間帯ごとの健康に役立つ過ごし方や養生方法をお伝えしていきます。

自分の身体のリズムと自然のリズムを知り、気・血の巡りを良くして健康な毎日を作っていきましょう!