「春眠暁を覚えず」の名句を知らない人はいないほど、とても有名な漢詩です。
本日は中国の詩人、孟浩然(もう こうねん/こうぜん)が詠んだ「春暁」をご紹介します。
『春暁(春眠暁を覚えず)』
春 眠 不 覚 暁(春眠暁を覚えず)
処 処 聞 啼 鳥(処処啼鳥を聞く)
夜 来 風 雨 声(夜来風雨の声)
花 落 知 多 少(花落つること知る多少)
春の暁は気候も穏やかで、心地良い眠りに夜が明けたのにも気づかず寝すごしてしまった。
ふと眼をさませば、あちらこちらから小鳥のさえずりが聞こえる。
そういえば、昨夜は激しい風雨の音がしていたが、いったいどれほどの花が散ってしまったことだろうか。
のどかな春の暁の様相を歌っています。
さわやかな朝の空気、あふれる陽光や嵐の後に花の散り敷いた庭などを思い浮かべながら、ゆく春を惜しむ情感が表現されています。
朝寝坊ができるほどの静かな生活から、隠棲閑居の頃に詠まれたものだろうといわれています。
【孟浩然】689-740
中国唐代(盛唐)の代表的な詩人、湖北省襄陽の人。
科挙の試験に失敗し、一時は山に隠棲していたが、40歳の時、長安に出て詩才を認められた。
王維・李白・張九齢らと親しく交際した。
王維の紹介で皇帝にも会見ができる身分になったが、のち詩句の一部が玄宗の不快を誘い追放された。
終生政府役人には就けず、不遇な一生を送り、故郷で没した。
享年52歳。
人間関係も下手だったようですが、李白、杜甫、王維という強い個と性豊かな才能を持つ大詩人たちに慕われたということは、
きっとおおらかな魅力溢れる人だったのでしょう。
平淡清雅の作風で五言律詩を得意とし、自然詩人として王維と並び称せられました。


