雨水は雪解けとともに少し湿っぽい空気が増し、しとしとと降る小雨の日が訪れます。

中国の詩人・杜甫(とほ)の漢詩に「春夜喜雨」というものがありますので、ご紹介しましょう。

 


    節(良い雨というのは降るべき時を心得ている。)

    生(春になると降り始めるのだ。)※「雨が万物の生育を始める」とも解釈できます。

    夜(その雨は風に吹かれながら、静かに夜まで降り続き、)

    声(細やかで音も立てずにすべてのものを潤す。)

 


穏やかに春の夜の恵みの雨を喜んでいます。

これは杜甫が長安の戦乱を逃れて蜀(しょく)の地「成都」に知人の支援により「浣花草堂」(かんかそうどう)と名付ける居を構えていた頃の西暦761年(上元2年)の作と言われています。

この成都に居住していた3年弱の期間が杜甫にとっては支援してくれる友人に恵まれ、生活にも余裕がみられた人生最良の時期でありました。

そのため、この時期の作品には漸く安住の地に辿り着いたと思う杜甫の安堵感と心の弾みが感じられるものが多く残されています。

 

しかし、いくら恵みの雨といってもまだまだ肌寒い季節です。

冷え(寒邪)や湿気(湿邪)は「胃腸の症状や痛み、むくみやだるさ、関節の痛み」として現れます。

この時期には温かくて消化の良いお粥やスープを食べて胃腸を労わり、足湯などをして末端を温めて体調を整えましょう。