福一の「吉田調書」および、従軍慰安婦問題の「吉田証言」に関する記事を撤回するとのこと。
私は朝日新聞を擁護するつもりはないし、過去に朝日のダメさを批判してきた経緯もある。
したがって、大手メディアとして、誤りは当然訂正、撤回すべきだし、きちんと謝罪するのは当然だろう。
しかし、私が懸念するのは、今回の騒動によって、
問題の本質がすり替えられてしまうこと。
確かに朝日の報道は、印象操作だったかもしれない。
しかし、それらの問題自体は、依然、未解決のままだ。
すなわち、いくら朝日が訂正、撤回しようが、それは、
あくまで問題の一部分に過ぎない。
福一問題の本質は、以下の通り
・ひとたび原発事故が発生すると、人間の力で制御できなくなるという安全上の問題
・誰が最後まで残り、現場で指揮・命令をするのかという管理上の問題
・その他の作業員の職務範囲(退避基準)の問題
今回、朝日が取り上げたのは、
「吉田所長の『敷地内に留まるように』という指示に反して、作業員が外に逃げたのではないか?」という部分。
もしこれが事実とすれば、作業員達の「責任」が問われかねないゆえに撤回したのだろう。
しかし、問題の本質は、上の通りである。
個々の作業員の責任云々に問題を矮小化してはならない。
もうひとつ指摘したいのは、
朝日報道がなければ、「吉田調書」は闇に葬られていたこと。
これを報じたのは、当時、朝日新聞だけだった。
また、その存在が明らかになっても、政府は公開を拒否していた事実は無視できない。
(秘密保護法を盾に、永久に秘密文書にされていただろう)
しかし、その後政府が公開せざるを得なくなったのは、朝日報道によって社会問題化したからであり、この一点においては、朝日を評価しなければならない。
次に、「従軍慰安婦」の問題
「吉田清治」という記者の記事がデタラメ、捏造だった。
それが事実なら、撤回、謝罪するのは当然だ。
しかし、「従軍慰安婦」については、
吉田清治が唯一無二の情報ではない。
そもそも、吉田清治など、私は知らない。
(ネトウヨたちの世界では有名人なのだろう)
慰安婦問題については、過去記事を参照下さい。
・慰安婦問題について
・戦争の証拠隠滅
・反日教育は特アだけだったのか
ネトウヨたちの主張への反論
・「従軍慰安婦」という言葉は、当時存在しなかった
⇒信長・秀吉の時代を、「安土桃山時代」と当時呼ばれていなかったように、名称は後世の歴史家が名付けるもの。ちなみに戦時下では”軍属”扱いだった。
・慰安婦連行を指示した文書が見つかってない
⇒国際法違反の命令書を残すほど軍部はアフォではない。「すぐに破棄せよ」という類の命令書があるのも常識。さらに戦争責任追及を恐れた軍部が「証拠隠滅」を図った「証拠」が見つかっている。
・「高給売春婦」だった
⇒本土の日本人ですらただ働き同然だった当時、植民地の被差別民族を厚遇する理由がない。強制労働や徴用は、朝鮮だけでなく、台湾、フィリピン、インドネシアなど東南アジア各地でも行われていた。
・日本はきちんと娼婦を管理していた
⇒それなら、売春婦の国際規定(パリ条約)を守っていたという「登録台帳」を証拠として提示すれば良い。もし、あれば・・・の話だが。
他にも、中曽根元首相が海軍士官時代、
(日本兵の乱暴狼藉を収めるために)「俺が慰安所を設置してやった」と豪語していたり、
終戦直後、政府の指示で、日本各地に200箇所もの慰安所が速やかに設置されたという事実(進駐軍用、後にパンパンと呼ばれた女性達)がある。
これらは、「日本兵の常習的性犯罪」と、「政府・軍部の指示で、慰安婦が集められたこと」を意味する。
すなわち、戦時中の日本政府は、国際法違反と知っていたけれど、「慰安婦は軍事上、必要なもの」と認識していた何よりの証拠だ。
「現代の価値観で判断するな」とか、「良い悪い」という問題ではない。
事実だから「事実だ」と言っているだけ。
「吉田清治」以外に、これだけ十分な根拠があるうえ、東南アジア各地の元慰安婦証言が残されている。したがって、
「慰安婦問題」は、なかったことにはできない。
朝日新聞がどうしようが、「福一」の問題も、「従軍慰安婦」問題も、
本質的には今までと何ら変わりはない。
しかし、これをきっかけに、
「原発再稼動せよ
」 という原子力ムラの金の亡者達が復活したり、「中韓を打倒せよ
」 というネトウヨの声が大きくなったり、「朝日新聞や民主党は、反日だ
」 という大本営報道部(NHK、読売・産経)の発言力が増すことを懸念する。なぜなら、それらは全て、「アベ自民党」の思うつぼだから。
悪質さという点では、
原発事故の放射能被害を「風評被害」にすり替えたり、
原発事故を、まるで「民主党の責任」だと印象操作したり、
「中韓、ロシアは悪い国だ~」と連日のように報道したり、
「アベがんばってる~!」アピールを繰り返す、NHKや読売・産経の方がよほど酷いわけで。
国民は、感情的にならず、冷静に、「事実のみ」を見極めなければならない。