音楽は、聴く人の年齢や心情、立場によって、その印象や感想が大きく変わります。
私はこの曲を学生時代に聴きました。まさに”神風特攻隊”の隊員たちと同年代でした。
少年時代の夢は消えましたが、心の片隅に特攻隊への憧れのようなものが残っていました。自分と同年代の彼らの多くが徴兵され、あるいは志願して戦地で命を散らせたのです。
他人事ではなく、自分の身になって本気で考えました。
もし自分なら「どんな気持ちで戦地に向かったのか」を。
この曲は、映画『連合艦隊』の主題歌です。
戦地で亡くした息子を想う、親の気持ちが綴られています。
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おぼつかない足取りで、独りで海辺に来て
あなたのことを、あれこれ想い出している
親より先に旅立つ不孝は許すけれど
この世に残り、悲しむしかない、この身が辛い
幼いあなたを背負い、この砂浜を歩いたけれど
その温もりも、もう消えかかっている
群青色の海に降る雪が、私に泣けと言っているかのよう
耳を澄ませば、あなたの声が聞こえる
「待っていてね、母さん。もうすぐ帰るから」
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意訳するとこんな感じです。せつないです。
若い時には、親の気持ちが分かりません。
でも、この曲を聴いて、
「ゼロ戦カッケー!」「特攻隊に憧れるぅ~」
と無邪気に叫んでいた頃の自分が恥ずかしくなりました。
彼らは、愛する自分の家族を守るために戦ったのです。
そして、死してその家族の元に帰るしかなかった。
母親も同じです。
「お国のため」、息子の命を捧げたけれど、
この歌詞のように、本音ではきっと辛かったはずです。
「国に命を捧げるのは尊いことだ。正義なのだ」
と声高に叫ぶ人が、ここ数年、増えつつあります。
しかしその代償として、家族の悲劇があること。
そして帰る場所は、「靖国」ではなく「家族のもと」なのだ
ということを、私はこの曲で感じ取りました。