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外国人雇用のいろは

若手士業が集まるビジネス研究会『サムライEX』から派生した『外国人支援SIG』のブログ。行政書士、社会保険労務士、税理士、弁護士等のメンバーが、外国人の雇用、在留、トラブル解決、生活に関する情報を発信します。毎週水曜更新!

 『日本で暮らすチャイニーズガールを専門家が物語にしちゃいました』

■第4 内定取消し

リさんが久しぶりにあったお友達とカフェでお話ししています。

リ:ここのところだいぶご無沙汰だったけど旅行にでも行ってたの?

なな:そんな余裕全然ないよ、いま就活中だもん。


リ:あれ、就活って?だってもう去年機械メーカーから内定もらってなかったっけ?


なな:それがさー、内定取り消されちゃったのよ。上層部の経営方針の変更という理由だから細かいことはわからないんだけどね。


リ:なにそれ!?そんなことが許されるの?


なな:んー、人事部の担当者は謝ってくれたけど、結局まだ内定段階の人は本採用じゃないから会社からの内定取り消しは問題ない、って言われちゃった。


リ:ふーん。そんなもんなのかなー、、、。



 
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【解説】(弁護士 田中 康晃)


 こんにちは。
弁護士の田中です。

 さて、このような内定取り消し。本当に許されるのでしょうか。答えは「許されません」です。

 そもそも内定(採用内定)の法的性質は、「就労又は労働契約の効力の発生始期付きで解約留保権付き」の労働契約の成立と考えるのが判例・通説です。

 すなわち、就労を開始するまでに卒業できなかったり、病気やけがで正常な勤務が出来なくなった場合に「解約できることを条件としている」労働契約と考えるわけです(ちなみに採用内々定の段階ではまだ労働契約の確定的な拘束関係に入ったとの認識にまでは至っていないので労働契約が成立した考えるのは難しいでしょう。)。

 したがって、こうした始期付解約留保権付きといえど労働契約が成立している以上、会社からの内定取り消しは「解雇」にあたります。

 とすれば、解約留保権の範囲内による場合は別として、何らの合理的な理由もなく一方的な内定取り消しは認められません。

 判例上も「解約留保権の趣旨、目的に客観的に照らして合理的で社会的に相当として是認できるもの」に限り解約留保権の行使(すなわち内定取り消し)を適法としています。

 内定取り消しが認められる具体例としては、上記の病気やけがにより正常な勤務が出来なくなった場合のほか、本人が申告した経歴・学歴の重要部分に虚偽があった場合や内定当時予測できなかった不況の深刻化で会社の人員計画を大幅に変更せざるを得ず既存の従業員や管理職も辞めてもらわなければいけない状態になってしまった場合、などが挙げられます。

 
 こうしてみると、李さんのお友達が内定をもらった機械メーカーは単に「上層部の経営方針の変更」を理由に内定取り消しをしているので、そこには何ら合理的な理由もない一方的な内定取り消しにあたるといえるでしょう。

 ですので答えは「許されない」ということになります。

 こうした会社側の恣意的な内定取り消しについては、債務不履行責任もしくは不法行為責任に基づく損害賠償請求が認められます。

 損害額は個々の事案によってまちまちですが数十万円の範囲で損害額が認定されるのが多いようです。