John Grisham
The Rainmaker

3冊目は、裁判や訴訟、政治謀略サスペンスを手がけるジョン・グリシャムの著書『The Rainmaker』。

邦題は、『原告側弁護人』。


(ストーリー)

アメリカのロースクール(大学院レベルの法律家養成機関)の3年生であるルーディー・ベイラーは、

借金まみれながらなんとか学校生活を乗り切った苦学生。

就職先も決まり、なんとかなると思われた矢先、就職が内定していた弁護士事務所が

突然吸収合併されてしまい、内定は取り消し。

一転、再び借金まみれ、しかも警察にまで追われる生活に。

追い詰められた彼は、自分で事務所を開き一つの事件を請け負うことに。

それが、生命保険会社への保険金請求。

相手は大手にもかかわらず悪徳な行為も平然と行う生命保険会社。

そんな相手が雇ったのは百戦錬磨の凄腕弁護士。

なのに、頼りにしていた弁護士のパートナーは逃亡して行方知れずに。

新人のベイラーは、単身戦わなくてはならなくなり……


保険金を受けられずに死んでいく病人。

夫に理不尽な暴力を受けながらも、弱い立場のために離婚すらできない妻。

正義感を持ってこの世界に飛び込んでみたものの、そこは

やる気のない判事、公然と受け渡される賄賂、そして裁判を有利に進めるため、

禁じられているにも関わらず陪審員と接触しようとする弁護士が蔓延する薄汚い世界。


新人の主人公は、そんな世界で果たしてどうやって人生初の裁判を闘うのか?


グリシャムの作品は序盤の4分の1くらいまで展開がゆっくりなため、

退屈に感じる読者もいるかもしれません。


ですが、それも序盤だけ。

ルーディーと法廷で対決するのは、彼の内定を取り消した名門弁護士事務所。

そこから、俄然おもしろくなります。

正義はなく、ただ訴訟を通して金を稼ごうとしている大手事務所。

それとは対照的に、初々しくもまっすぐにぶつかっていくルーディー。


その法廷とは関係なく、ドメスティックバイオレンスに悩む人妻とのラブロマンスもありますが、

そこは読者によって賛否両論。(というか、むしろほとんどの読者が否定的……)


しかしながら、法廷対決は読み応えありますし、結構楽しめます。

自身も弁護士であったというグリシャムの魅力を、この本から感じてみてください。