株価高騰と不況の共存

From 岡田磨左英(中小企業診断士)

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日経平均株価が4万円を超えるなど1年前には誰が予想したでしょうか。バブルの時を超えたわけですから、不思議な感じがしますね

しかし、1980年代後半のバブル時と2024年初頭のバブルは、性質が違います。

80年代の時は、日本経済が好調で、企業も家計も借入金を新たにしてまで、ゴルフの会員権や土地やマンションなどの資産を買いまくって、資産バブルという様相でした。崩壊後は、資産価値は減るものの、借入金のみが残り、負債の返済に企業も家計も走り、信用収縮で経済も停滞し、その後のマクロ経済政策も悪かったもので、30年近くも不況をやっています。

そして、今回の株高ですが、どういう理由で起きたのかを推察しますと、コロナでアメリカや欧州などの先進諸外国は、たっぷりと財政支出をしました。消費税にあたる付加価値税を下げたりもしましたし、小売税を下げたりもしました。

緊急時ということで国民にお金を十分支給したのです。

そして、コロナが明け、十分にお金がある企業や家計が消費や投資をし始め、物価高となりました。

そして物価高を抑えるためにFRBなどの中央銀行が金利を上げました。ドルの金利が高いということで、円を売ってドルを買うとい流れが起き、円安が加速しました。

円安ということもあり、しかし日本の輸出大企業は業績が急激に回復するだろうという予測ができますので、海外の投資家が手持ちのドルで、日本の上場企業の株を買いまくった結果、日経平均株価が4万円を超えたということだと思います。

しかし、これは金融経済の話、実体経済では、22カ月連続実質賃金減少、11カ月連続実質消費減少という不況が未だに続いています。

実体経済と金融経済はつながってはいるものの、株価が上昇したら、景気がいいとは限りません。今回のように金融経済は活況、実体経済は不況ということはあり得るのです。

さて、今後の読みは難しいので、分かりませんが、金融資本家たちが、利益確定売りをするでしょうし、信用売りをしてくると思われますので、いずれ、また株価がどんどん下がる局面が出てくると思います。

業績がいいのは、一部の輸出大企業で、政府の経済政策が悪いがゆえに、中小企業は疲弊していますから、株価も実体経済の情況に近づき、近い将来下がるでしょう。
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岡田磨左英(中小企業診断士)