消費税は直接税である

岡田磨左英(中小企業診断士)

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国民の99%以上は、「消費税は間接税である」と思い込まされているでしょう。確かに会計処理も仮受け消費税(負債の部に計上)仮払い消費税(資産の部に計上)として処理し、差額を消費税として税務署に支払うので、消費者から消費税を預かって、入ってきた消費税と支払った消費税の差額を払うのだと認識してしまい、「消費税は消費者からの預り金を払っている間接税だ」と
思い込んでいます。

しかし、消費税法第5条には、「事業者は、国内において行った課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れにつき、この法律により、消費税を納める義務がある。」と、事業者に納税義務があると定めています。消費者には納税義務がありません。

ゆえに間接税ではありません。事業者がいくらの価格でどれだけの数量の売上を上げたかが消費税額を決めるのです。もちろん仕入れにかかった消費税額を控除するのですが。

これが、消費税の嘘の一つです。つまり、消費税に預り金などない、消費税に益税などない、というのが真実なのです。

「消費税の免税事業者は益税という利益を不当に得ている」として訴えられた裁判でも、被告の政府は「事業者が納税義務者であることは明らかである」「消費者を納税義務者であると規定したものではない」「預り金、仮払金というのは、会計技術に関する説明であり、消費税の納税義務者の問題とは無関係である」と主張していますし、判決も「消費者に納税義務を課したものとは言えない」「消費税分は対価の一部としての性格しか有しない」となっています。

しかし、多くの国民は「消費税」という名前から、消費者に納税義務があるものなのだと誤解しています。

他の先進国では「付加価値税」と正直に名前を付けているのに、日本では、あたかも消費者が納税義務者のように誤解する「消費税」という名前を付けています。この辺に財務省や政府の狡猾さがあると言えるでしょう。
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岡田磨左英(中小企業診断士)