「桐島、部活やめるってよ」〜上層・下層のヒエラルキーは今も〜 | 更年期をヒラリとかわす!女のプチ鬱ヒーリング日記「笑いながらタメ息」

「桐島、部活やめるってよ」〜上層・下層のヒエラルキーは今も〜

$更年期をヒラリとかわす!女のプチ鬱ヒーリング日記「笑いながらタメ息」-桐島本


先頃直木賞を受賞した朝井リョウが
すばる新人文学賞を受賞した高校生群像小説。
ある日、桐島というバレー部のエースが
部活を突如辞めるというニュースが学校を駆け巡り
それを巡って桐島まわりの生徒たちに波紋が広がる…

っていうようなお話で
私はけっこう好きだった。


リアリティがあるという評価が非常に多く
もちろんそうなのだろうが、
私がいちばんぐっときたのは、小説の中で表現される
「現代の高校生は、成績とかではなく、
ほとんど見た目と振る舞いで
イケてる組とイケてない組に分けられていて
その歴然としたヒエラルキーは絶対に越えられない」

という部分。



そしてイケてる組=上層部の生徒たちは
そのなかだけで恋愛関係も完結していて
そこに下層の生徒たちは絶対に入ることはできないし
上層部の生徒は下層の生徒がほとんど目に入ってさえいない。


マザーテレサのだっけ?
有名な言葉に
「愛の反対は、無関心」とかいうのがあったような気がするけれど
それがいかに普遍性がある言葉かってことを再確認させられたのだった。




ていうか、私の個人的な考えでは
そういう「見た目ヒエラルキー」は
昔のほうがひどかったと思ってたんですよね。



昔の子は、素のままの顔で学校に行っていて
だから顔の善し悪しだけでほとんど見た目評価が決まってしまって
それをくつがえす手段はなかったし
派手な格好をしたりメイクしたりするのはキレイなこの特権で
“美人外”の子は「目立たないように」するのが通常。
という不文律?があった。



ところが今の子って、高校生でもメイクする…のはともかく
美人もそうでない子も、等しく?つけまをつけたり
短いスカートはいたりするでしょ。

プリクラの補整で、どんな子もみな同じ顔に見えるし
そのためか、みんな写真が大好きで。
(昔はたいていの子が写真を恥ずかしがってましたが)



本当にいい時代になったものだー。
ルックス関係なく、だいぶ平等になったのだなー。


と、思っていました私は。



ところがこの本を読むと、ぜんぜん違う。


相変わらずルックスヒエラルキーはあるし
それどころかむしろ昔よりひどい???みたいな。


そしてそれが「今の高校生のリアル」と評価される……



そういう意味で、この本は衝撃作でした(笑)




それを昨年映画化したのが、喜田大八監督。






$更年期をヒラリとかわす!女のプチ鬱ヒーリング日記「笑いながらタメ息」-桐島映画



ちょっと前に天才子役といわれた神木隆之介が
下層民の映画部部長として出ているが
それ以外、私はほとんど知らない若い役者ばかり。



でも見事に原作のあやうい世界を再現していたし
演出もテンポもよく
むしろ原作よりいいかも~とさえ思いました。




ちなみに私が好きな最近の高校生映画として
2008年タナダユキ監督の「俺たちに明日はないッス」
2007年岩田ユキ監督の「檸檬のころ」があるけれど
この映画は最新なだけあって、さすがに一番「いまどき」な感じがします。