虫の目 鳥の目 魚の目 <「普通の人」がなぜ過激化するのか>歪んだ正義(1) 大治朋子・編集委員(専門記者)
毎日新聞 2020年7月26日
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20200723/pol/00m/010/006000c
「自粛警察」はもともとある敵意や差別感情の現れ
マスクをしていない人を激しく叱責する。政府の自粛要請下で地元以外のナンバーの車を傷つけたり時間を短縮して営業する店に嫌がらせをしたりする。中国人が経営する店やその関係者をSNS上で中傷する。
新型コロナウイルス禍に現れたいわゆる「マスク警察」「自粛警察」現象は、人間の攻撃性を顕在化させた。
「人を傷つける心―攻撃性の社会心理学」(サイエンス社)などの著書がある大渕憲一・東北大学名誉教授(社会心理学、現・放送大学宮城学習センター所長)によると、「災害や犯罪などによって社会不安が高まると、それに伴い人々の間で生じる不快感情が攻撃性に転化されやすくなる」という。
もともと他の集団や民族に対して敵対的な、あるいはマイノリティーに対して差別的な態度を持っている人でも、冷静な時はそれを不合理なものとして自制することができる。ところが不安や恐怖が高まっている時には「認知資源の不足などからこうした抑制力が低下し、敵意や差別感情が噴き出しやすくなる」という。社会が不安定な時には敵意や差別感情を「正当化」する理由を見つけやすくなり、また周囲の人々からの支持が得られやすいと感じて抑制力はいっそう低下しやすくなるというのだ。
「自分は絶対に正しい」と思い込むと、人間の凶暴性が牙をむく
「あなたは、自分がテロリストになることもありうると思いますか」
監獄実験が顕在化させた人間の攻撃性
過激化する人としない人の違い
多民族時代の健康パスポート 新型コロナ 第2波に備え発熱外来を 濱田篤郎・東京医科大学教授
毎日新聞 2020年7月26日
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20200722/med/00m/100/009000c
7月に入り東京を中心に新型コロナウイルスの流行が再燃しています。第1波のピーク時にも匹敵する感染者数が発生していますが、7月16日に開催された政府の第2回分科会では、感染爆発のような事態には至らないだろうとの発表https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/corona2.pdfがされました。一方、今の時期は、秋以降におこると予想される本格的第2波流行への準備をする時期でしたが、その大切な時期に流行が再燃してしまったのです。現在の流行の火を早めに消すとともに、秋以降の対策を同時に進めなくてはなりません。今回は、欧米での第1波流行の経験を振り返りながら、秋以降の第2波対策について解説します。
第2波で感染者数は増大する
医療崩壊と医療保険制度の関係
日本での医療崩壊を防ぐには
新型コロナとインフルの区別は
再燃対応と第2波への準備は同時進行で
松尾貴史のちょっと違和感 間の悪いGoToトラベル ドタバタは何のコメディーなのか
毎日新聞 2020年7月26日 02時10分(最終更新 7月26日 02時27分)
https://mainichi.jp/articles/20200726/ddv/010/070/012000c
安倍政権の優先順位の過ちは飽きるほどに見せつけられてきたが、よくこれほどバラエティーに富んだ愚かしさを露呈できるものだと悪い意味で感心させられる。大混乱を招き、不公平感をばらまき、7月22日にスタートした「観光需要喚起策」のキャンペーンは「Go Toトラベルじゃなくて、Go Toトラブルだ」と軽口をたたかれている。
「週刊文春」によると、この事業を1895億円で受託した「ツーリズム産業共同提案体」に属する観光関連の14団体などから、自民党幹事長の二階俊博氏ら自民党の37人の議員に対し、4200万円、またはそれ以上の献金が行われていたという。
その二階氏は全国旅行業協会の会長で、同時に自民党の「観光立国調査会」の最高顧問でもある。その彼が命令に近い形で新型コロナウイルスの感染者が増え続ける最中に「Go To」を前倒しにしてしまったという。
学校の遠足も修学旅行も中止になり、しかし「皆さん旅行に出かけましょう」とけしかける。子供たちにどう説明するのか。今回もまた、火事場泥棒的利権優先の「芸風」が発揮された印象だ。
北朝鮮に新型コロナ感染者か 開城を完全封鎖 正恩氏出席し緊急会議
毎日新聞2020年7月26日 10時08分(最終更新 7月26日 10時08分)
https://mainichi.jp/articles/20200726/k00/00m/030/023000c
北朝鮮の朝鮮中央通信は26日、南北軍事境界線近くに位置する南西部開城市で、新型コロナウイルスに感染したとみられる脱北者が韓国から戻る事件があり、同市を24日午後から完全封鎖したと伝えた。朝鮮労働党政治局は25日、非常拡大会議を緊急招集し、金正恩党委員長が出席、防疫体制を最大限に強化することを決めた。
中国、南部を中心に大規模な水害 4500万人以上が被災 被害拡大懸念も
毎日新聞2020年7月25日 19時47分(最終更新 7月25日 19時48分)
https://mainichi.jp/articles/20200725/k00/00m/030/180000c
中国で梅雨入り後の6月上旬以降、南部を中心に大規模な水害が続き、4500万人を超える被災者が出ている。中国気象局は週末も長江中下流域などでの大雨を予想しており、さらなる被害拡大が懸念されている。
新華社通信が伝えた22日までのまとめによると、この間の被災者は江西、安徽、湖北など27省・自治区・直轄市で延べ4552万人、死者・行方不明者は142人に達した。水害による被害は家屋の倒壊約3万5000件などによる直接的な経済損失だけで1161億元(1兆8000億円)を超えるという。
開催なら景気浮揚、中止だと収入ゼロも…気をもむ経済界
朝日新聞 2020年7月25日 7時00分
https://www.asahi.com/articles/ASN7S5RZDN7NULFA030.html?iref=comtop_list_biz_n07
例年と様変わりした光景が、東京・平和島の一角に広がっている。はとバス本社の駐車場だ。いつもは車両の出入りが激しいが、今年は隙間なく100台余りが待機中で人気(ひとけ)もない。
「本来なら、今年はオリパラ関連のバス事業で1億5千万円が入るはずだった」。石川祐成取締役経営本部長が明かした。東京五輪・パラリンピックの会期中は毎日、大会運営のためにバス25台が使われる予定だったが、1年延期で、見込んでいたお金が今年は入らなくなった。
コロナ禍で観光需要は蒸発した。3月中旬、観光バスの立ち寄り先に閉鎖などが出始め、乗務員を自宅待機にした。ツアー実施が難しくなったからだ。緊急事態宣言翌日の4月8日からは観光バス事業がほぼ止まった。平時では都内観光が会社の売り上げの約3割を占めるが、4月の利用者(日本語コース)は前年比0・1%、5月はゼロ、6月は同2・6%。経営するホテルも大会関係者、旅行会社などの予約(約1万2千室)が入っていたが、約2億6千万円が吹っ飛んだ。
5G、エンタメからコロナ対策へ
まだないGoTo事務所、8月に正式開設 業務の実態は
朝日新聞 2020年7月25日 18時18分
https://www.asahi.com/articles/ASN7T5VX8N7TULFA005.html?iref=comtop_list_pol_n02
政府の観光支援策「Go To トラベル」が22日から始まっている。連休で地方の観光地などで人出が増えているが、感染者も再拡大しているタイミングだけに、支援策への疑問は根強い。事業は民間委託されていて、業務の実態がわかりにくいといった懸念も強まっている。
「Go To キャンペーン」は、新型コロナウイルスの経済対策事業の目玉だった。このキャンペーンでは「トラベル」以外の事業も民間の企業・団体に委ねられる。巨額の税金が効果的に使われるのかチェックできるように、透明性の確保が課題となる。
シビックテック 第3回 都のサイト開発 国内外から大量の提案 台湾のIT相も
朝日新聞 2020年7月26日 10時00分
https://www.asahi.com/articles/ASN7R3W7GN7FULFA02F.html?iref=comtop_8_07
シビックテック コロナに挑んだ3カ月③
ITを使って社会の課題を解決することを目的にした一般社団法人「コード・フォー・ジャパン(CfJ)」による東京都の「新型コロナウイルス感染症対策サイト」が公開された3月4日。国内の新型コロナウイルス感染者は、初めて1千人を超えた。
東京芸大作曲科2年の渡辺響(20)はこの日、たまたま見たツイッターの投稿に目を留めた。
都のサイトの技術の高さが話題になっていた。リンクをたどり、CfJに行き着いた。そして、チームに加わりたいと申し出た。
渡辺がゲームを入り口にプログラミングを始めたのは小学5年生のときだ。一時期、熱は薄れたが、最近は、再び企業や国家がデータを支配しない分散型のネットワークなどに関心を持つようになった。
東京都のサイト開発は、プログラムを公開して開発する「オープンソース」。だれもが参加し、誰もが使える、その手法にもひかれたのだ。
北朝鮮で初の新型コロナ感染の疑い 開城市を完全封鎖
朝日新聞 2020年7月26日 10時29分
https://www.asahi.com/articles/ASN7V3DY0N7VUHBI002.html?iref=comtop_8_02
北朝鮮の開城市で新型コロナウイルスの感染が疑われる事例が発生し、同国政府は24日から同市を完全封鎖した。朝鮮中央通信が26日に報じた。北朝鮮はこれまで国内に感染者はいないと主張しており、感染の疑いに言及するのは初めて。
民間委託で丸投げ、中抜き…経産省の独自ルールに問題か
朝日新聞 2020年7月26日 10時00分
https://www.asahi.com/articles/ASN7T6WR6N7PULFA028.html?iref=comtop_8_01
政府事業の民間委託をめぐる問題で、経済産業省のルールが他の省庁に比べて企業・団体側に有利になっていることがわかった。事実上の丸投げや中抜きを招きやすい仕組みになっている。経産省は持続化給付金事業で批判を浴び、ルールの見直しの検討を始めた。
民間委託は統一ルールがなく運用は省庁ごとに任されている。例えば「Go To キャンペーン」の事業ではトラベルは国土交通省、イートは農林水産省、イベント・商店街は経産省が、それぞれの基準で委託する。
「中抜き」でも独自基準、経産省は「緩くはない」
医師「安楽死バレない方法」、ネット掲示板を開設して募集…ALS嘱託殺人
読売新聞 2020/07/26 10:49
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200726-OYT1T50147/
難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者(当時51歳)を殺害したとして、医師2人が京都府警に逮捕された嘱託殺人事件で、元厚生労働省技官の医師大久保愉一容疑者(42)(仙台市)が、事件半年前の昨年5月、インターネット掲示板を開設し、「安楽死」が発覚しない方法を募っていたことがわかった。
掲示板は「安楽死研究会」のタイトルで、大久保容疑者が使っていたツイッターのアカウント名で昨年5月1日に開設された。目的について「いたずらに長生きを強いられている現状を現場ベースで打開すべく、知恵と経験を共有したい」と説明。「静かに逝かせてあげるコツをシェアできたらと思います」として、「バレないための方法」のアドバイスを呼びかけていた。
「海外の大学医学部を卒業」確認出来ず…山本容疑者、医師免許を不正取得か
読売新聞 2020/07/26 09:09
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200726-OYT1T50133/
ALSの女性患者を殺害したとして、嘱託殺人容疑で京都府警に逮捕された山本直樹容疑者(43)が、海外の大学の医学部を卒業したことにして、医師免許を不正に取得した疑いがあることが捜査関係者らへの取材でわかった。府警が大学に確認したところ、卒業を確認できなかったという。府警は、厚生労働省に連絡した。
捜査関係者らによると、山本容疑者は東京都内の医科大学に一時在籍した後、約10年前に海外の大学の医学部を卒業したとして医師国家試験を受験し、医師免許を取得したという。
「存在」だけでいい・「災害派遣と軍事」分けて意識…「自衛隊」このままでいいのか?
読売新聞 2020/07/26 09:00
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20200721-OYT1T50117/
自衛隊の前身、警察予備隊の発足から今夏で70年を迎える。今なお国際的には「軍」、国内的には「実力組織」と説明するための矛盾と制約は、議論なき「再軍備」に原点がある。国際情勢の激変や新型コロナウイルスの世界的流行は、この節目の年に「軍」と改めて向き合うよう、国民に迫っているように見える。(編集委員 伊藤俊行)
制限していた「作戦」の言葉を使用、変わる自衛隊
議論なき「再軍備」のツケは今も
中国、ブータン東部の領有主張 新たな争点化、インドけん制
時事通信 2020年07月26日07時09分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020072500291&g=int&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit
インド北東部シッキム州の対中国境に立つ中印両国の兵士=2008年7月(AFP時事)
【北京時事】中国がヒマラヤ山脈の隣国ブータン東部の領有権を主張し、反発を招いている。国交がない両国は2016年まで国境画定交渉を24回重ねているが、ブータン側によれば、東部が議題に上ったことはなかった。中国による新たな争点化は、ブータンと結び付きが強く、対中国境紛争が再燃しているインドをけん制する狙いもあるとみられている。
中国はトランプ米大統領の再選を熱望している【コメントライナー】
時事通信 2020年07月26日09時00分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020072100324&g=int
中国の習近平国家主席(左)とトランプ米大統領=2017年11月9日、中国・北京【AFP時事】
トランプ米大統領(右)を見詰めるマティス前国防長官=2017年10月5日、米ワシントン【AFP時事】
◆中国ビジネス研究所代表・沈 才彬◆
今年11月、4年に1度の米大統領選挙が行われる。中国は表向きでは、外国の内政不干渉原則を表明しているが、内心ではトランプ氏の続投を熱望している。
彼の続投は、米国内と世界の分断を加速させ、米国のリーダーシップを危険にさらし、中国の覇権争奪に有利に働くからだ。
◆絶好の反面教師
◆米国の独善外交
◆習政権は喜ぶ
27年までに「新ミサイル部隊」 対中国、沖縄に展開―米海兵隊トップ会見
時事通信 2020年07月25日07時45分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020072400218&g=int
米海兵隊トップのバーガー総司令官=2019年12月、ワシントン(AFP時事)
【ワシントン時事】米海兵隊トップのバーガー総司令官は23日、時事通信との電話会見で、2027年までに対艦ミサイルなどを装備した「海兵沿岸連隊(MLR)」を3隊創設し、沖縄とグアム、ハワイに配置する考えを明らかにした。総司令官は3月、海兵隊が今後10年間で目指す方針を示した「戦力デザイン2030」で、戦力構成を抜本的に見直し、対中国にシフトする姿勢を鮮明にしている。
「楽して稼げる」コロナでブローカーが暗躍 中国の「売血」事情
東京新聞 2020年7月26日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/44853
7月中旬、北京市の総合病院前で、血液が必要な患者関係者に声をかける「血頭」メンバーの男(右端)=坪井千隼撮影(一部画像処理)
中国で血液の違法売買が横行している。新型コロナウイルスの影響で献血が減少し、輸血用血液が急激に不足しているためだ。雇用悪化の影響の直撃を受けた低所得者にとって、「売血」は手っ取り早く金が稼げる手段になっており、違法売血に拍車をかけている。(北京・坪井千隼)
◆病院前で「血頭」が売りさばく
◆献血量は3分の1に
◆雇用悪化「困り果てて血液売った」
コロナ拡大 5000人の島、募る疑心 あの時、あの場所、自分は… SNSで飛び交う感染者名「知っている人ばかり」 鹿児島・与論町
南日本新聞 2020/07/26 11:00
https://373news.com/_news/?storyid=123262
新型コロナウイルスの感染者が25日、新たに6人確認された与論町。わずか4日間で計29人にまで拡大し、住民同士の結びつきが強い人口約5000人の平穏な島の日常は一変した。感染者情報が会員制交流サイト(SNS)で飛び交い「自分も濃厚接触者では」とおびえる人も。島民間に不安が渦巻く中、飲食店などの休業が相次ぎ観光客も困惑している。
「陽性だった人や検査を受けた人の名前が一日に何度も送られてくる」。40代の会社員女性はメッセージの通知音が鳴るスマートフォンを見つめた。「知っている人の名前ばかり。接触がなかったか気になって仕方がない」と不安がる。
自営業の30代女性は「小さなコミュニティーだけにいつ感染してもおかしくない」と話し「島民全員のPCR検査を検討してほしい。このままでは島民のメンタルも地元経済も持たない」と訴えた。
<金口木舌>デジタルレス
琉球新報 2020年7月26日 06:00
https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1162749.html
コンサートや航空機などの利用券を不要とするのはチケットレス。音楽を聞くイヤホンでも無線式のワイヤレス製品が増えた。デジタル化のなせる業。「レス」は「脱」に言い換えられる
▼現金の不使用はキャッシュレス。政府はポイント還元事業を実施し浸透を図った。後継事業として今月からマイナンバーカードを活用し、買い物に使えるポイントを付与する「マイナポイント」の申し込みが始まった
▼キャッシュレスは脆弱(ぜいじゃく)性も露呈した。豪雨に襲われた熊本県人吉市では停電と通信障害によりクレジットカードや電子マネーが使えず、一時現金のみの利用となった。西日本豪雨でも同じ問題が起きた
▼「災害時、現金が安心する」は被災地の声。人吉市では、地元銀行が車両式の自動現金預払機(ATM)を稼働させ現金を供給した。懸念の声を受け政府は本年度、災害対策の実証実験などに10億円を計上した
▼マイナンバーの多機能化は進み、口座とひも付けも検討される。政府による監視強化、情報流出などプライバシー侵害への懸念がある。社会保障番号の利用が先行する米国では懸念が現実となっている
▼記録的豪雨は沖縄でも相次ぎ、台風も今後あるだろう。暗証番号の紛失や手元のスマートフォンから情報流出の恐れは誰にでもある。デジタル依存は両(もろ)刃の剣。「デジタルレス」の余地を残してもいい。