太陽の神であるアマテラスが洞窟に隠れると
高天の原(たかまのはら)と
葦原中国(あしはらのなかつくに)は
暗闇に包まれ
昼が来ない夜だけの世界になり
悪神が騒ぎだし万(よろず)の災いで
溢れかえりました
八百万(やおよろず)の神が
天安川(アメノヤスカワ)に集まり
タカミムスヒ
(造化三神の偉い神様)
の子の
オモイカネ
(知恵の神:高天の原の総理大臣的な存在)
に対応策を考えさせます
オモイカネの策は「祭り」でした
長鳴鳥(ながなきどり:鶏のこと)を
集めて鳴かせ
玉祖命(タマノオヤ)に
八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)を作らせ
伊斯許理度売命(イシコリドメ)に
八咫鏡(やたのかがみ)を作らせました
天児屋命(アメノコヤネ)と
布刀玉命(フトダマ)に
桜の木で占いをさせました
天の香具山のサカキの
上枝に八尺瓊勾玉を連ねた玉緒を
中枝に八咫鏡を
下段に白い布と青い布を垂らしました
そのサカキをフトダマが持ち
アメノコヤネが祝詞を唱え
タヂカラオが岩戸の側に隠れます
祭りが始まるとアメノウズメ(女神)は
ヒカゲガズラを体にかけ髪飾りをつけ
笹の葉を持って
桶(おけ)の上にたって踊りました
踊りが神がかってくると
胸をあらわにし
服の紐を陰部まで押し下げます
すると高天の原がどよめき
八百万の神々がどっと笑いました
おかしいと思ったアマテラスは
天岩屋戸を少しだけ開いて
私が隠れていると
高天の原(たかまのはら)も
葦原中国(あしはらのなかつくに)も
暗闇になっているはず
アメノウズメはなぜ踊ってるのか
みんな何を笑ってるのか
と尋ねます
アメノウズメは
あなたよりも尊い神がいらっしゃいます
と答えました
アマテラスが外を覗くと
天児屋根命(アメノコヤネノミコト)と
布刀玉命(フトタマノミコト)が
八咫鏡(やたのかがみ)を差し入れます
自分とそっくりな太陽の神が
もう一人いると勘違いして
驚いたアマテラスが
さらに外を覗こうとすると
腕力の神様の手力男神(タヂカラオノカミ)が
アマテラスの手をつかんで
外へと引っ張り出しました
こうして高天の原と葦原中国に
再び明かりが戻りました
八百万(やおよろず)の神は会議を行い
原因となったスサノオの髭を剃って爪を切り
高天の原から追放しました
この時つけられた
八咫鏡(やたのかがみ)と
八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)が
天孫降臨によって地上にもたらされ
後の皇位継承の証となる
「三種の神器」となり
現在まで受け継がれていくことになるのです