『いつの日か自分の理想とする楽器を手にしたい』
そんな長年の夢が、この7月に叶いました☺︎
先生には、私は理想のサウンドのイメージがはっきりしているから、きっと出会うまでに相当時間がかかるだろうと言われていて、自分でもそう思っていました。
けど、いざ本格的に動き始めたら色んな偶然とタイミングが重なって、探し始めてから1ヶ月も経たずにこの楽器と出会うことができました。何て幸運なんだろう…!
3年前、理想とするサウンドとの出会いがあったイタリアのフィレンツェ。パオロ・ベットーリさんのヴァイオリンのサウンドが本当に本当に忘れられなくて、けど金額的にも難しいし、そもそも日本じゃ出回ること自体あっても、プロの業界の人たちが裏で回し合うような楽器。
だったら、あの楽器の音の何に自分が惹かれたのかを紐解いて、それに似通う美学を持つ現代の製作家を探していこうと、彼のルーツをたどり始めたのが5月。
フィレンツェで弾いたあの楽器に感じた、力強い中に温かみがあり、広がるように伸びていくあのサウンドは、フィレンツェ・スクール(トスカーナ派)やモダン・ミラノスクール(音響的な部分)の要素の融合なのだと知りました。
明るさの中に渋さのあったあの響きは、ブレシア派の要素だとも知る。
その後、そうした要素を美学に持つ現代の製作家を調べ始めました。
ミラノ派、フィレンツェ・トスカーナ派、ブレシア派にまずは絞ってひたすら調べる中で一人、気になる製作者が目に入ります。モダンミラノ派の名工の研究も積極的に行っていて、しかも得意なモデルがガルネリデルジェスという珍しい製作者。求めてたモデルがデルジェスだったこともあり、より一層気になった。けど、その人はクレモナの製作者。
ヴァイオリンを含めた弦楽器の聖地と言えば、イタリアのクレモナだけど、私は最初、クレモナの製作者は避けて調べていました。理由は、これまで弾いてきたクレモナの楽器は、どれも自分が求める音の方向性と違かったから。
ベッリはザ・新作、というパリッとした音で自分の好みと違った。見た目も好みじゃない。ヨハンソンの楽器は、低音は好みだけど、高音も同じような響きで、自分にとっては飽きてしまう印象を持った。
ビソロッティをお借りする機会が前回の発表会であったけど、音の質量の塊が一度にドバーっと滝のように流れていく楽器で、響きのコントロールが効かない感覚。響きを扱うように弾きたいと思う自分にはミスマッチ。
そして、それらに共通していたのは、どれも直線的に音が飛んでいく印象。染み渡るように広がるサウンドを求める自分には、クレモナ派の楽器は合っていないかも…と感じたことが理由でした。(もちろん、全部私の個人的な好みの話。聴くのともまた別の話。)
けどその製作者は、クレモナ派でありながらも、モダンミラノ派の名工の研究をしていたり、得意なモデルが自分が求めるガルネリデルジェスモデルだったり。ベットーリさんの美学と通じるものがあって、何だか特別な印象を持った製作者でした。
ただ、人気作家でここ数年は多方面に多忙を極めるというのを見て、そこが引っかかった。多忙な中作ってるのかって思うと…っていうわがままな思考になって、けど、そもそも製作者みんな多忙に決まってるよな…とか色々考えていたこの時。あと、人気作家って言葉が天邪鬼な自分の中で引っかかった笑
だから、2020年代より前の楽器だったらな…ということもうっすら考えていました。
そんなこだわりを持っていたから、まさかの先生が、たまたまこの製作者の2012年の楽器を押さえていたことを知った時は本当にびっくりな展開でした…!
6月に入ってから、先生に楽器を探し始めたいことと、自分が求める楽器の理想のサウンドや気になる派なども伝えていました。その日のうちに、先生が楽器屋さんに連絡をしてくれていたようで、その時にたまたま前のオーナーが手放したという、この製作者の楽器があると聞いて、その時点で押さえていた、という。
びっくりなのは、私がこの製作者のことを知ったのは先生に連絡をした後日のことだったから、本当に偶然。先生には、「クレモナだから、未来さんは好きじゃないかもしれないけど…」っていう前置きから入って伝えられて、作者の名前を聞いた時に、なんか聞いたことがある名前だな…?と思ったらまさかのあの気になってた製作者。しかも、その日じゃなかったらもう店頭に並んでたらしい楽器。本当にびっくりだった。
製作年が2012年というところにも、前述した理由から期待感を持ちました。
それに、令和という今から見ると、2012年は不便さの中にある心地よさを感じられた、平成という古き良き感覚が残る最後の年だったように思います。高校を卒業した年だった。まだスマホを持つ人は、クラスに1人とか2人だったそんな時。
2013年からは、周囲も自分もスマホを持つようになって、誰とでも気軽に繋がれる時代にどんどん変わっていって。2012年は、わたしの中でその変わり目っていう印象だったから、とても魅力的に思えた。
不便さが心地良い、と思えたきっかけは、フランスで過ごした1年がそうだったからです。フランスでの1年と、2012年という年がリンクして、だから魅力的に映った。
そうして迎えた1回目の選定会。他にも3挺、計4挺ある楽器のチューニングを先生にそれぞれお願いした時、この楽器の最初の音を聞いた瞬間にもう決まりでした笑
そして、音を重ねる毎に広がっていくサウンドに、A線のBの音の唸るような艶っぽい響きに、響き渡るように広がる低音に、とにかく魅了されました。求めていたサウンド!求めてたデルジェスモデル!!しかも憧れの1枚板!!
その場で決まりって伝えるのは、何だか先生に考え無しって思われるのも嫌で、1週間後の2回目の選定会の時に伝えようと思っていたけれど、それからずっと頭から離れなくて、結局その日の夜にこの楽器で決めたことを連絡してた。笑
パオロ・ベットーリを求めていたら、最終的に「この楽器だから」と思える楽器に出会うことが出来ました。幸せです☺︎
・直線的では無く、染み渡るように広がる音色
・渋みのある艶っぽい音色
・D線の深み
・モデルはガルネリデルジェスがいい
・できれば一枚板がいい
・アンティーク感ある仕上がりが好みだけど、色は明るめがいい
楽器を探す上で求めていた項目。D線の深みを、響き渡る低音って置き換えたら、これら全てを持っているこの楽器。もう、毎日毎日見る度に可愛くてたまらない…笑笑
『思いを持って探していると、気づいたら向こうから歩み寄ってくる。』
そんな言葉を思い出して、今回の出会いと思わず重ねていました。
先生から素敵なケースも譲ってもらい、とっても嬉しかった!可愛い!わーい!
中が艶のあるホワイトカラーなのもお気に入り。
楽器保護用に買ったフランスのブランドのシルクスカーフも、薔薇がフランス感あってお気に入り。
今、ヴァイオリンを弾くことが本当に心から楽しいです☺︎
渡仏、お店、ヴァイオリン。10代や20代前半に描いていた夢や理想が現実になっていってる30代という今。やっと自分が生きるフェーズに入った感覚です。
来年は、イタリア・クレモナにある、製作者の楽器工房を訪れたいな。そんなことを計画してる今です☺︎
終わり。

















