私のブログでは、これまでドリブルをする時の大切な身体特性として、高重心、背骨のバネ作用、体重移動などをお話して来ました。

参考記事

サッカー選手の高重心と低重心

カットドリブルと体重移動

カットドリブルと身体の使い方

こうした身体特性をマスターするためには、一本歯下駄トレーニングによってバネ作用を身に付けることが大切であることもお話しましたよね。

 

ところで、身体にバネ作用が身に付いて体重移動がスムーズになると、ドリブルの時に「身体が浮く」という動作が見られます。

ちなみに、蹴球計画 ~スペインサッカーと分析~のブログでも「ドリブルと浮くこと」というテーマでいろいろと書かれています。

こちらの記事はかなり専門的ですが、ご興味のある方は読まれると良いでしょう。

でも、記事の内容がちょっと難しいかも知れませんねビックリマーク

 

そこで、今回はドリブルの際によく見られる「身体が浮く」という動作について、具体例を交えながら出来るだけ分かりやすくお話したいと思います。

 

 

 

 

1.身体が浮くとは?

 

次の動画は、「とも」が二年生の春休みころのドリブル練習の様子です。

0:10以降の動きをご覧ください。

ちょっとしたジャンプをしているようですが、ふつうのジャンプとはちょっと違います。

 

いったん、背中を曲げてしゃがみ込んでから、両手を上げてジャンプしています。

これは肩甲骨が脱力しているので、自然と腕が動いただけで、腕の重さもジャンプの推進力として使っています。

そして、しゃがみ込んでから…の動きは高重心であることの特徴的な動作です。

こうした動作を総じて考えると、背骨のバネ作用によって上半身を使ったジャンプをしたわけです。

でも、ジャンプをするつもりでジャンプしたわけではないんです。

ちょっと分かり難いですが、背骨のバネ作用が結果的にジャンプのように見えるということです。

つまり、この状態が、ドリブルで「身体が浮く」という動作なんです。

 

ここで、ドリブルで「身体が浮く」動作の条件を二つにまとめましょう。

(1)背骨のバネ作用が使えること

(2)高重心であること

 

こうした背骨のバネ作用は、誰でも生まれ付き備わっている能力です。

また、高重心になることだって可能です。

だから、練習しだいで誰でも身に付く能力だと思います。

 

 

 

2.身体を浮かすことのメリット

 

身体が浮くということは空中動作ですが、地面からの摩擦抵抗を受けません。

だから、動作の自由度がとても高いんです。

 

(1)スピーディーな動きが出来る

走るという動きは、大きく分けて二つの動作から成り立っています。

① 地面を蹴る

② 空中動作

このうち、地面を蹴る動作は地面反力と言うエネルギーを得るものですが、同時に地面の摩擦抵抗も受けてしまいます。

ところが、空中動作の場合は若干の空気抵抗はあっても地面の摩擦抵抗のようなものはありません。

次の動画をご覧になると、ウサイン・ボルトの走り方って、地面を蹴る動作よりも空中動作の時間の方が長いと思いませんか?

まるで、空中に浮いているような走り方です。

つまり、空中動作=身体が浮く動作って、スピーディーな動きを可能にさせているわけなんです。

ちなみに、ウサイン・ボルトの100m走の歩数は41歩で、平均ストライドは2.44mです。

 

 

(2)身体の姿勢を急激に変える

次の動画では、子どもがジャンプして水平に回転しています。

フィギュアスケートでも似たような動作をしますよね。

体操選手なんかもっとスゴイでしょ?

つまり、身体が浮くという空中動作は、身体の姿勢を急激に変えることに適しているんです。

もしも、この動作をジャンプしないでやったとしたら…。

こんなに早く回転できませんよね(笑)。

身体が浮くという空中動作は他にもいろいろありますが、最大のメリットは地面からの摩擦抵抗⇒重力から解放されるということです。

 

 

 

3.ドリブルで身体が浮く動作の例

 

次の動画の前半のイン・アウトのカットドリブルのうちアウトの動きに注目してください。

 

アウトのタッチ~インの切り返しまでの一連の画像を切り取ってみました。

まるで、振り子のように体重移動が出来ていますよね。

躍動感のあるドリブルです。

(1)アウトでタッチ

(2)タッチした左足で地面を蹴る

(3)身体を浮かせて体重移動

(4)着地直前まで身体が浮く

(5)インで切り返し

最初のアウトのタッチの時にしゃがみ込んで背骨のバネを縮めていますよね。

その後、縮めた背骨を伸ばしながら左足で地面を蹴っています。

だから、ジャンプするつもりはないけど、背骨を伸ばした反動で結果的にジャンプしたように動いたんです。

最初の動画でもお話しましたが、やはりジャンプをするつもりでジャンプしたわけではありません。

 

先ほど、ドリブルで「身体が浮く」動作の条件を二つお話しましたよね。

(1)背骨のバネ作用が使えること

(2)高重心であること

この二つの条件は密接不可分の関係です。

実際には「背骨のバネ作用が使える=高重心」ということなんです。

 

逆の見方をすれば、背骨のバネ作用が使えない人は⇒低重心ということです。

要するに足の力だけでドリブルするわけなんですね。

 

 

 

4.トッププレーヤーたちの動作

 

特に参考にしてほしいのは、メッシとロビーニョですね。

二人ともよく上半身を使っているので、ドリブルで「身体が浮く」動作が見られます。

メッシは身体が小さくて足も短いですが、背骨のバネ作用を存分に使っています。

ロビーニョの場合は躍動感があって、黒人特有の身体能力を発揮しています。

左利きの人はメッシを、右利きの人ならロビーニョの動きをぜひ参考にしてみてください。

 

(1)メッシ

 

(2)ロビーニョ

 

 

 

5.一般的な日本人のドリブル

 

次の動画をご覧になると分かりますが、上半身が棒立ちで開いていますね。

背骨のバネ作用を使う時の独特な動きである、上半身の沈み込むような動作がありません。

こういうドリブルの特徴は二つあります。

(1)背骨のバネ作用が使えていない

(2)低重心であること⇒足だけ

ということは、「とも」のように「身体が浮く」という動作がないんです。

重たい上半身を背負って足の力だけで頑張る!ドリブルです。

それにしても、日本人はこういうドリブルが大好きですね。

 

先ほどのお兄さんのドリブルって、ほとんどのメニューを両足でやっているでしょ?

これって、次の動画のような動作とほぼ同じなんです。

「とも」のカットドリブルみたいな左右の振り子の動きもないですよね。

 

 

 

6.「とも」のインのタッチは「身体が浮く」動作が少ない

 

先ほどご覧なった、「とも」がアウトのタッチ~インの切り返しまでの一連の画像と比べると、躍動感は少ないです。

いちおう体重移動は出来ていますが、振り子のような振れ幅も少ないですね。

だから、インのタッチは「身体が浮く」動作が少なくなります。

 

これは、どういうことかと言うと、インのタッチ~アウトの切り返しの動きって身体が開きやすいんです。

画像の2~3のシーンを見ると身体が開いていますよね。

しかも、身体が開いてしまうと棒立ちになってしまうから、背骨のバネ作用が使い難いんです。

だから、アウトのタッチ~インの切り返しまでの動作と比べて、わずかな「身体が浮く」動作はあるものの、スピーディーな動作がやり難いんです。

つまり、先ほどお話した「4.一般的な日本人のドリブル」と似たような動作になってしまうんですね。

身体の開きって怖いですね~ゲッソリ

 

次の動画をご覧になると分かりますが、「とも」のドリブルってアウトを使ってボールを持つことが多いですよね。

そうすると身体の開きもほとんどないでしょ?

たしかに、インや足裏も使いますが、こうした動作は一時的なものです。

 

実際に、本人は「ボールの置き場所は小指の前…」と言っています。

インで持つと、身体も開くしボールの動きを相手にさらすことになるので嫌がります。

つまり、アウトでボールを持つ限り、ボールが取られ難く、自由に動かしやすいと考えているんでしょうね。

アウトでボールを持っている時って何だか活き活きとしてますニコニコ

 

よろしかったら、ぜひ参考にしてみてください目

 

さて、次回もこの続きをお話したいのですが、仕事が多忙なのでこの続きはちょっと先になります。

来週あたりかな?

お楽しみにね爆弾

 

 

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