サウジアラビアに個の力で負けたからって……。  | ブログ

ブログ

ブログ。

アジアカップ準決勝、サウジアラビアに敗戦。

敗因は個の力の至らなさだとされた。

確かに失点シーンではDFが完全に振り切られていた。

阿部中澤の2人が完全に振られた失点シーンが象徴的だった。

センターバックが2人いても止められないなら勝ち目は著しく低くなる。

サウジ監督も「日本の選手との1対1で勝つのはたやすいことだった」という

わが国にとっては著しく屈辱的なコメントを発している。

負けたあとにいろいろ言われるのはよくあることで、それはけして悪いことではない。

「ミドルシュートが少ない」

「横パスだけじゃなくタテにも入れろ」

「可能性が低くてももっとシュートを撃て」

「交代が遅い」

まあ一理あるわな。

結果論としてはいくらでも何とでも言える。

みんな言いたいことをどんどん言えば良い。


大会終了後しばらく時間が経ち、少し落ち着いたので

俺も自分の考えを記しておく。


安易に無理な仕掛けをせず、

より確実なプレーを選択して、

できるだけボールを支配する。

それを可能にするために選手は常にフリースペースを意識し続け

90分間走り回る。

数的優位を作るためにDFもビルドアップに参加し、時には前線まで上がっていく。

チャンスも多いが、リスクも伴う。

簡単にいうとそれがオシムさんの目指すサッカーだ。


今大会ではゴールを奪うことよりも、ボールを支配するということに意識が行き過ぎたように思う。

ジーコジャパンの頃もアジアのチーム相手では相当ボールポゼッションは高かった。

中盤に小野、中村、中田、遠藤、小笠原と足元が上手い選手が多かったので

自然とボール支配率は高くなった。

けどラインを引いてきた相手を攻め崩すことにはかなり難儀していた。

それはオシムジャパンでも同じなんだけど、

進歩している点が2つあるように思う。

一つは決定機をたくさん作れたこと、

もう一つは、それを難しいプレーをせず、簡単なパスワークで実現できたこと。

世界の強豪国でアジアの国々ほど引いてくるところはないので、

強豪国相手でもけっこうチャンスは作れるんじゃないだろうか、という期待感を持つことができた。

問題は相変わらず「決定力不足」。

もう俺がサッカーを見始めた90年初頭から、ずーっと言われ続けていることで

それまでも、そしてこれからも言われ続けるだろう。

決定力が低いから、その分決定機をたくさん作るというのは一理あるが、

同時に決定力を上げていくことは永遠のテーマであろう。

今大会で、個の力をもっと上げなければならないという意見をあらゆるジャーナリスト、解説者が

声高にかたっていたが、そんなのは当たり前で、敗因としてあげるのは稚拙すぎる。

中澤にカンナバーロになれ、俊輔にロナウジーニョになれ、高原にドログバになれ、

啓太にマケレレになれ、加地にカフーになれ、阿部にザンブロッタになれ

って言ってもそりゃ無理でしょう。

もちろん個人個人がもっと研鑽を積む必要は常にあるんだけどさ、

そんなのいちいちプロが書くことでもないでしょう。

それをいうなら、どうすれば個の力を上げていけるのかを書くべきだと思う。

その答えは俺もまだ考えがまとまってないんだけど。

ただホントにいまもっとも意識しないといけない個の力は「決定力」だと思う。

ここを高めていくことが、もっとも効率がいいでしょう。

それがもしかしたら日本サッカーを劇的に変貌させるかもしれない。

自信と経験をどのように獲得するか、ある程度の方法論を作っていけないだろうか。

考え続けていかなければならない。


ま、たった1年でここまで決定機を作れるようになったオシムはやっぱすごいんじゃん。

サウジ戦でDFは個の力で粉砕されたけど、それは多分もう改善不可能。

守備を手厚くしたらオシムサッカーじゃなくなる。

そこはもう目をつぶって、決定機に決めてくれることだけを祈ろう。

ここまで割り切れちゃった方が、見てる方にしては気が楽じゃない。

オシムさんは「負けないサッカー」じゃなくて「勝つサッカー」を実現しようとしてるのだから。