*妄想ゲームネタ
*アレン勇者ルート バッドエンド
「この世界も、救えたんだ。救ったんだ、俺が」
荒れた荒野、崩れた機械兵。
それらを背後に、黒い髪の青年はひとりごち、虚ろな目を閉じた。
――大切なものは、みんななくなってしまった
――あの世界のラスボスも
――兄以上に思っていた剣の師匠も
――無責任な、創造主も
――世話焼きな幼馴染も
――七界はもう存在しないんだ
――秩序は壊れて、世界は崩壊した
――崩れた世界は際限なく分かれ
――ひとつひとつが世界となって
――その全てが求めている
――たったひとりの訪れを
「救世主、勇者、英雄……」
――俺は、ただ一人残ってしまった
――旧世界の最期の秩序に守られたから
――俺は、勇者だ
――世界の新しい秩序に選ばれた、勇者だ
破壊しきれていなかった機械兵が、巨大な剣で背後から青年を貫く。
しかし青年は眉一つ動かさずにそれを引きぬき、片手に持っていた剣で一閃した。
傷口から血が大量に吹き出すも青年は倒れる気配も見せない。
「俺は全ての世界を救うまで、死ぬことができないんだよ」
こうしている今も、旧世界の断片はひとつの世界になっている。
完全に機能が停止され、崩れ落ちた機械兵を見て、諦めたように続けた。
「死ねないんだ。ずっとひとりのまま」
「俺はもう、ずっと、ひとりぼっちなんだ」