スケープゴードの理論。

集団は共通の敵をもつことで集団たる絆を深める。


今まで生きてきた中で経験したあれやこれやが思い出されて辛くなった。

生贄は一人でいい。

むしろ一人でないといけない。


だって、そうじゃないと構図は反転するかもしれないでしょう?

生贄山羊に反撃されてしまったら…。


加害者はいつもずるがしこい。

それが無意識のものであっても。



「若葉の頃は終わった」を読んだ後、続けて近藤史恵の本を何冊か再読した。


「ガーデン」


今のところ彼女の作品では一番好き。

何度読んでも真波が不憫だ。結局、彼女はその他大勢にしかなれなかった。

もつものともたざるものと…選別によって生じる力が確かにあるのだと。

そう突きつけられる。

美はそれだけで脅威であり大きな力だ。

もたざるものが無理矢理挑んだところで手に入るのは残酷な敗北だけ。


そして真波を不憫だと思う自分が嫌。

彼女の敗因を知っているのに…それ故の敗北だと知っているのに認められない自分はどこかで彼女に自己投影しているのだろう。



「凍える島」


悲しい話。救われない話。心が痛くなる。

それでもこの話を綺麗だと感じてしまうのは何故なのか。




近藤史恵さんの作品はこれ以外にも何作か読んでいる。

なんだろう…すごく。すごく辛くなる話が多い。

私にとって。


現実の厳しさを突きつけられる話。少しの美しさをもって。

そういう物語を書く人だと思う。