最近、夕凪の生活の大部分を占めているのは読書でありますが、昨日も昨日とて楽しく(そしてちょっと憂鬱になりながら)読書にはげんでおりました。
最近は新刊本を読むことよりも過去に読んだ本の再読をすることが多く、読み方もちょっと斜めになっているようでございますが、それはそれでまた楽しいことだと再発見している次第です。
昨日の獲物は
「猫のゆりかご」 カート・ヴォガネット・ジュニア。
すごく重いテーマを扱っているのに、絶望に満ち溢れているのに、暗さの欠片もないところがすごい。ひっくりかえすとそれがもっとも絶望を表しているともいえるかもしれませんが。そして強調したいのはやはりボコノン教万歳ということでしょう。
「蘆屋家の崩壊」津原泰水。
一言で表すと凄絶。タイトルはポーの「アッシャー家の崩壊」のもじりなわけですが、本家「アッシャー家」に劣らぬ秀作だと思います。仰々しい言葉を連ねているわけでは決してない、想像力によって齎されるひたひたとした恐怖。<伯爵>と<猿渡>というどこか飄々としたコンビ、少しの滑稽さが妙味となって恐怖を引き立てる幻想怪奇短編集です。こういうのを読むと幻想小説好きに一層の拍車がかかります。
「神様」川上弘美。
くまにさそわれて散歩にでる。へんてこりんな物語が満載であります。へんてこりんだけれども本当にそうよなぁ、と思わせられるお話たちです。「夏休み」に登場する梨につきもののあれが語る「ぼくだめなのよ」「いろいろだめなの」と言葉に己の心情を指摘されたような気持ちになりました。
「池袋ウエストゲートパークⅠ~Ⅳ」石田衣良。
なぜかキングにキリトをキャスティングして読んでみようと思い立ちました。思い立って実行したら結構はまりました。今度から「池袋~」を読むとき、私の頭の中でキングはキリトの顔をしているでしょう(笑)読みながら石田衣良の作品の主人公はみんな客観的よなぁと思う。客観性、ということをもって他の登場人物から特化しているような気がします。それってわざとなのか、それとも語り手であるが故に意図せずに生じた結果なのかがちょっと気になる今日この頃です。
なんだか簡単書評の体をあらわす記事になってしまいましたな。
変化ない一日だったのですよ(笑)
歩きすぎて足の裏が水豆だらけになって苦しんでいる以外には(笑)