昨日、「花とアリス」を観た。
岩井俊二さん監督の作品だ。
「スワロウテイル」を観てそれまでそんなに興味のなかった映画を好きになった私にとって、岩井さんの作品はちょっと特別だ。
元気をもらいたい時に観ることにしている。
明るい…はつらつとした映画では決してありえないのだけど。
少女のちょっとした嘘(決して小さくはない)からはじまった少年少女の不思議な三角関係。
恋に目覚めた少女と未だ父性を追い求め、演技の道へと進みだす少女。
それまで同じ道を歩いてきたのだろう二人の分岐点が切なくも優しく私の目に映った。
何回見ても印象に残るのはアリスがオーディションでバレエを踊るシーン。
「ちゃんと踊ってもいいですか?」の一言からはじまる彼女の踊り。
決していい加減にはしないその踊りに対する態度から彼女にとってバレエがとても神聖なものであるように感じられた。
それまでのおどおどした態度は消え去り、凛と踊る姿からはしなやかな強さを感じて…きっとあれが彼女の孵化だったのだろう。
花の孵化はきっと少年に対する嘘の告白。
少しの、でも決して小さくはない壁を乗り越え先へ先へと進んでいく物語だ。
なんだか忘れていた大事なものを思い出させられるような映画。
観ていてちょっと元気になった。