プノンペン:バック・トゥ・ザ2003 映画館LUX CINEMA@ノロドム通り | 映画の中の奇妙なニッポン

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プノンペン。

まさかイオンモールがカンボジアにオープンするような時代が来るとは...というわけで2003年、まだ「人類の夜明け」状態だったプノンペンを、『新・好きになっちゃったカンボジア&ラオス』 (双葉社)の取材で訪れた。

キャピタルGHつーちゃん食堂
キャピトル・ゲストハウスから歩いて30秒、和食に飢えた日本人バックパッカーの定番スポットだったツーチャン食堂。店の本棚にはゴルゴ13、モーニング、ビッグコミックスピリッツなど定食屋の基本から、「翼をください・ジェームズ三木」「女心をつかむ101のマニュアル」などマニアックな蔵書も。


ソリヤショッピングセンター

セントラルマーケットのすぐ南、できたてほやほやだったソリヤ・ショッピングセンター。1階にはラッキースーパー、上の階にはBBワールドバーガーがあり、怪しげなコピーゲームソフト、海賊版ビデオCDを売る店がパラパラ。


ソリヤには、当時、カンボジア全土でここにしかないと思われるエスカレーターがあった。平日は常連客が多いので問題ないのだが、週末ソリヤにやって来る人は、はっきり言っておのぼりさんというか、エスカレーター慣れしていない人が多い。そんなわけで、週末に訪問すると、このエスカレーター上り口のあたりで、なんとも気まずい光景を目撃することになる。


乗りこむきっかけがつかめず泣きそうな顔で立ち尽くしている少女。見てて気の毒になるほど緊張して全身でベルトにしがみついているおじさん。一度は乗ろうとしたが結局自分には無理とあきらめ階段のほうに回るおばちゃん。友達数人で手をつなぎ必死の形相でジャンプする学生たち。エスカレーターに乗ったこと自体がうれしくてはしゃぎまわる子供...21世紀とは思えない光景が続出するのである。


カンボジアの映画館
こちらはノロドム通り、ロイヤルGHそばの映画館LUX CINEMA


プノンペンの映画館
壁には「ナイフや拳銃や爆弾は館内持ち込み禁止!」という迫力満点の注意書きが。エントランスでは空港より厳重なセキュリティチェックを受け、入念なボディチェックと強制手荷物預けを経て、なんとか中に入る。


ノロドム通りモニヴォン通り-映画館

客席は既に大混雑で熱気むんむん。香港製お色気コメディの予告編や、「買春行為は通報しよう!」みたいなえぐい政府広報などが入れ替わり立ち代わり上映され、期待がふくらんだりしぼんだりで大変だ。そんなこんなで開始予定時間を30分過ぎ、超満員御礼状態になった頃、館内に国歌が流れ全員起立、ついに本編が始まった。


それにしても、地元のみなさんのドラマへの感情移入ぶりはハンパない。主人公が卑劣な悪者に一発くらわすと大歓声&割れんばかりの拍手。逆に主人公がやられたりすると、みんな目に見えて意気消沈、半べそだ。4000リエルでこれだけ夢中になれるなんて、いやー、映画って本当にいいもんですね~。