イオンで買い物中のこと。日曜日の午後で店内は混雑を極め、またいつにもまして子連れがウジャウジャいた。



 衣料品売り場の狭い通路を通り抜ける際、父親と小学校低学年の女の子とすれ違った。混んでいたので、私のバッグと女の子の体が擦れ合った。通り過ぎようとすると、その父親が、



 「待て!人にぶつかっといて黙って行く気かコラ!」とまるで安いテレビドラマのような台詞を吐いた。そして尚も、「人の子供にカバン当てといて、もしこの子が転んで怪我でもしたらどうするんだ!他人の子供だぞ!」といきまいている。ちなみに年のころは30代後半、金髪で風貌はちょっとヤンキー入っていた。



 ははぁ、コレが例のアレかと思った。いわゆるモンスターペアレントという奴だ。略してモンペ。



 混雑した場所で、バッグ等と人の体が擦れ合うのはよくあること。乳児ならともかく、小学生にもなる子供がその程度のことでダメージを受けるとは考えにくい。おまけに「転んでケガでもしたら」と言うが、実際には転んでもいないしケガもしていない。要するに、只のインネンである。恐喝とも言うが。女相手にいきがって、一体何がしたいのか。「強いパパぶり」を子供にアピールしたいのか。パパはこんなにもしてお前を守ってるんだぞ的な。それとも金か。



 いずれにせよ、バカと関わるのは面倒くさいのでさっさと謝罪してその場を立ち去ることにした。



 「あら~すみませ~ん!気がつきませんで~!どうもすみませ~ん!!ごめんなさいねぇ~!!」


 思い切り大声で、営業口調プラスおばさん口調で、形だけは丁寧に謝った。私の大声に周囲が気がつき、何事かと集まって来る。モンペは何となく気まずい風で、子供の手を引いて立ち去ろうとした。私は更にその背中に向かって、



 「本当にどうもすみませ~~ん!申し訳ございませんでした~!」



と、柳原可奈子のような口調で謝った。既に黒山の人だかり。コワモテの子連れの男が女に何度も謝らせている様は、見る人が見れば「モンペが一般人にインネンつけてる所」に写ったかも知れない。



 モンペが立ち去った後、すぐ近くに居た人に私は「モンペですね」と言った。その人は、「そうですね」と言った。



 その後、私は何事も無かったかのように買い物を続けた。