全編通して哀しみと虚無感が流れる映画である。結末も救いが無い。しかし、「生き抜け!」という強烈なメッセージはものすごく伝わって来た。



 「生きる」ということはカムイの生きた時代、今とは比較にならないほど厳しいものであった。抜け忍も追い忍も、カムイと共に暮らした半兵衛という漁師も、村人も海賊も、生きるためには戦い、欺き、殺し、そして逃げる。生き延びるためには何でもやらなければならないのだ。生きる意味や自分の価値を問う間もなく、ただ生き長らえることが一義であり、唯一の真実である。本当に、「死んでしまったら何もかも終わり」である。



 どこまでも追われ、戦いを挑まれ、誰も信じることはできず、一つ所に定住することもできず、誰かを愛することもできない。過酷なだけの人生なのに、それでもカムイは逃げ続け、戦い続ける。生きるために。生きていることそのものが、カムイにとって重要なのだ。たとえどんな目に遭おうとも。「ただ生きたくて」カムイは生きる。



 生とは本来、こんな風に過酷なものなのかも知れない。現代に生きる私たちは生きがいとか自己実現とか、どうでもいいことにこだわり過ぎている。ただ生きるだけもすごいことなのだ、本当は。そんなことを気づかせてくれた映画だった。



 カムイ役の松山ケンイチがすばらしかった。原作のカムイは目がぱっちりして女顔、松ケンの顔とは全然系統が違うのだが・・・それでも、かっと見開いた目はカムイそのものだった。声も若干変えており、普段の松ケンの声ではなかった。本当にカメレオン俳優なのだなぁ。



 そして小雪。意外にもアクションが凄かった。「やるなぁ、小雪姐さん」という感じだった。松ケンのアクションmp良かったが、意外なぶんだけ小雪の方が印象に残った。