なぜマルミと絶交したくなってしまったのか。心を病んだマルミが、母親との癒着などで病が悪化し、色々あったが結局いい人がみつかって結婚、子供もできて幸せになり、万事メデタシの結末になったのだから、祝福してあげてもいいはずだ。しかし私はマルミと付き合いたいと思わなくなってしまった。どうしてか。


 はっきりこれといった理由はないのだが・・・しかしとにかくあの時は、マルミに振り回されて疲れ果て、これ以上はゴメンだという気持ちになった。端的に言えばマルミを嫌いになってしまった。マルミは私のことを嫌いになった訳ではないから、もしかすると私は随分薄情な人間かも知れない。


 マルミを思い通りにしたかった訳ではない。親身になってアドバイスしていたが、私の言うことを100%受け入れて欲しいとは思わなかった。それはマルミが決めることだ。恩に着て欲しかった訳でもない。過剰に感謝されると却って恐縮する。


 では私はマルミに一体何を求めていたのか。きっと「共感と理解」ではないだろうか。マルミに自分のことを分かって欲しかったのだと思う。当時私にも悩みがあった。マルミの相談に真剣に応えていれば、いつか私の相談にも乗ってくれるだろうと思っていた。「情けは人のためならず」と言う言葉を信じていた。マルミのことが好きだったので、これでもっと気持ちが通じ合えると期待していたのかも知れない。一生懸命には一生懸命で返してくれるだろうと。


 しかしそれは間違いだと気づいた。その頃からマルミが嫌になってしまったのだと思う。マルミには人の悩みを受け止める度量はなかった。病気のせいではなく、元からそういう人間だったのだ。私はマルミに期待し過ぎたのだ。マルミを、対等な大人として見てはいけなかった。誰かの庇護をいつも必要とする、幼くて頼りない子供だと思わなければいかなかったのだ。。私はマルミを大人として扱い、そのように接して来たから、もしかすると私の言葉はマルミには鬱陶しかったかも知れない。「夏ばこさんは厳しいことばかり言う」と、心の中では私を敬遠していたのかも知れない。


 マルミはきっと、自分にとって心地良い言葉、慰めになる言葉のみを欲していたのだろう。私はそれが読めなかった。人の相談には甘言だけではなく、時には苦言も呈するべきだと言うのが私の信条で、マルミの相談に乗った時もそのスタンスで接していた。基本的に、誰の相談に乗る時も同じである。優しいことを言う時もあれば、厳しいことを言う時もある。それは相談内容とか、相手の状態による。気をつけているのは、こちらが感情的にならないことだ。きつい言葉ときつい口調は違う。


 しかし、苦言など何の役にも立たないと思っている人は案外多い。耳の痛い言葉は聞きたくない、ひたすら自分を肯定して甘やかして欲しいと思っている人は、痛いところを突くと逆ギレしたりする。相談に乗る方も万能ではないので、相手の意に反する言葉を発してしまうこともあるだろう。それが気に入らなければ従わなければ良いだけの話で、怒ると言うのは違う気がするのだが・・・。


 マルミの一件で、人間関係の難しさ、相談に乗ることの厄介さが骨身に沁みて、それ以降人の相談に乗ることを躊躇するようになってしまった。しかし私も余程のうっかり者なのか、マルミの件に似たケースがあと2件あるのだ。何故か私は心の弱い人に見込まれやすいようだ。後の二人も心療内科に通院歴のある人たちである。しかも完全に病気と言うわけではなく、ちょっと「心が風邪をひいた」状態の。その時も私は細心の注意を払って接したつもりだったのだが、結局後味の悪い結果となってしまった。


 それ以降本当に懲り懲りして、人の相談に親身になるのを控えるようになった。今までは感情移入し過ぎていたたと思う。人の心の痛みとか傷に敏感に反応してしまう私は、つい話を親身になって聞いてしまう。そしていつのまにか人の痛みとか傷が自分のもののように思えてしまうのだ。だから疲れ切ってしまう。相談した方にしてみれば、私がここまで疲れるとは想像だにしていないだろう。向こうに悪気はないのだ。私の考え過ぎがいけないのである。知らず知らず、不安定な人に振り回されるとこちらまで疲弊してしまうから、いつしか傷つかないように、できるだけ心の浅い部分で人と付き合うようになった。寂しいことだが仕方がない。人に期待するのはやめた方が、穏やかに生きられると思ったのだ。


 結局私は人と密な関わりを求めているのだと思う。しかしその求め方が上手ではない。甘え下手なので、まず誰かに甘えてもらってから、その見返りに、と言う形でしか甘えることができない。それでいつも肩透かしをくらってしまう。書いてて情けなくなるが、私はこういう人間なのである。何の気負いもてらいもなく、誰かと親密になれる人が、本当に羨ましい。記事タイトルの「散々な人々・散々な私」と言うのは、相手も大概おかしかったけど自分もどっこいだ、と言う意味である。


 残り二人のエピソード、マルミのことを書いていたら当時を思い出して気が滅入ってしまい、書く気が無くなってしまった。なのでまたの機会にしたいと思う。(あとの二人もけっこう物凄いです。乞うご期待)