女は案外いくつになってもオンナだ。齢60を過ぎても乙女心は残っていて、異性にときめいたりすることもあるだろう。・・・ペ・ヨンジュンに入れあげている私の母を見ても分かる。
ヨン様では物足りず、もっと身近な生身の男性を求めてしまう女性もいる。その対象は他所の旦那さんだったり、行きつけのスーパーの店長だったり、自分の娘の夫であることもある。
近所に住む佐藤さん。年齢ははっきり分からないが多分65は超えている。若い頃は美人だったんだろうな、と思える艶を残して年を重ねた、素敵なおばさまである。明るく快活な人で、ずっと若い私にも気さくに話しかけてくれる。その佐藤さんと話をしている時に、娘さんの旦那さんがどういう人かという話題になった。
お婿さんは39歳で、佐藤さんの娘さんとは6歳離れており、見合いで結婚した。佐藤さんの娘さんは21で今の旦那さんとお見合いし、そのまま結婚してしまったと言う。21なんてまだ本当の恋愛もしていないかも知れないような若さである。なんでも佐藤さんの長男を早く結婚させたくて、妹を早めに片付けてしまいたかったのだそうだ。妹が家にいるとお嫁さんが来ないと思ったらしい。それだけの理由で見合いさせられてしまった娘さんに同情する。しかも兄である長男は、結局未だに独身なのだそうだ。
ほとんど無理やりまとめてしまった理由は、佐藤さん自身がお婿さんになる人を気に入ったからだ。「うちの娘もイヤじゃなさそうだったし、先方も意外と乗り気だったから。両家の親が一緒になってさっさと結婚させちゃったのよ~。結婚してからイロイロあったみたいだけどね、二人の子供にも恵まれたし、結果オーライでしょ。ホントにいい婿さんでね~・・・良かったわ。次男だし、あちらのお母さんとあまり折り合いが良くないのもいいわね。こっちに引き込めるから!もうね、ウチが養子に貰っちゃったようなもんよ~可愛い息子!」
そう言いながら佐藤さんは目を細める。「うちにしょっちゅうご飯を食べにくるんだけど、私の作る料理を美味しい美味しいって、みんな平らげてくれるのよ!優しい子でね~私をよく気遣ってくれるの。お父さんとはホント大違い!あの人ったらまるで明治生まれみたいにガンコ一徹なんだから・・・」 若い婿の側で目を細めて、幸せそうにしている佐藤さんの姿が目に浮かぶ。それはもう、ほとんど恋だろう。
しかし、「あの子、痩せてるのに筋肉質でね。背は185あって・・・本当、惚れ惚れしちゃうような体つき・・・」このセリフは少々生々しいなぁ。一体何を妄想しているんだか。60過ぎてもまだまだオンナなんだなぁ。ちょっぴり哀しくなってしまった。何故だか分からないが。