雑誌「アエラ」に、こんな記事が載っていた。「産みたがる今時の女子 ~早婚・早出産に憧れる20代女性~」みたいな内容。記事を要約すると、バブル世代以降、女性は男と肩を並べてキャリアを築くことに躍起になってきたが、最近、仕事よりも家庭・子供という若い女性が増えてきた。彼女らは早い結婚・出産に憧れ、20代前半でママになりたがる・・・という感じ。最近の若い女性は、保守的になっているらしい。ここ10年、晩婚・晩産化の一途をたどってきた日本女性だが、ここへ来てその反動からか、早く子供を産みたがる女性が増えてきた。できちゃった結婚の増加も手伝って、出生率がわずかながら増加に転じた。若い女性がキャリアよりも家庭・子供を選ぶ傾向にある理由は、一世代前の女性たちが、男女平等の思想を体現すべく、仕事に賭け、男性並みの頑張りを要求され、その結果心身ともにボロボロになっているのを目の当たりにし、自分たちはそんな余裕の無い生き方はイヤだと思い始めた。そんなしんどい思いをして仕事を続けるくらいなら、さっさと家庭に入って母親になり、育児に専念した方が楽しそうだし、より深い人生経験になる・・・と考えるようになったというのがその記事の分析だった。


 似たような記述を「anan」で読んだような気がする。今時の若い女の子は専業主婦志向だと。結婚したら家庭に入って子育てに専念したい。そして育児を通じて輝きたい・・・という内容だったぞ、確か。家事や育児で輝けるかどうかはその人の資質や、環境など様々な条件が必要だと思うのだが・・・彼女たちは家庭にこそ幸せがあると、信じて疑わない。何だか、安易な考えだと思う。 当たり前のことだが、楽しいだけのことなど世の中にあるはずもないのだ。家事や育児だって、時には仕事より大変なことがある。


 しかも皮肉なことに、妻を専業主婦にさせておくだけの経済力を持った男が、どんどん少なくなってきている。今や男性でも非正規雇用で働いている人などごまんといる。そして非正規雇用のままで結婚したり、父親になったりしているのだ。当然のことながら非正社員は正社員に比べて年収は少ない。共働きをしなければ食べていけない夫婦もきっと少なくないだろう。実際、前述のananによれば、女性が専業主婦志向なのに対し、同世代の大半の男性は妻に働いてもらいたいと考えていると言う。


 なんでこう上手く行かないのか。私たちが20代の頃は、女は結婚しても仕事を続けたいと躍起になっていた。一方で男性の頭はまだまだ古く、女は家にいるべきだと考える男性も多かった。妻が働く、働かないでよく夫婦喧嘩のタネになったりしたし、女たちはまなじりを上げて仕事と家庭の両立に頑張っていた。社会から、仕事から完全に降りてしまうという事は「負け」を意味していた。当時も今も、男と女の思惑は食い違う。


 昨今の少子化により、今時の若い女性のこうした保守性は、案外世の中に受け入れられている。(長く続いた不況のせいかも知れないが)女が仕事をさっさとやめて家庭に入って子供を産めば、出生率は上がるのだから。一番手っ取り早い、少子化の解決法だ。だからきっとこのような考えは、近い将来「常識」になるのではないかと私は思う。何だか、針が端から端に思い切り触れた感じ。10年前とはほぼ正反対の考えだ。


  女の生き方にまつわる、これからの世間の常識は、きっとますます保守的な方向に流れるだろう。つまり、女は家にいて育児に専念すべきだという常識が、幅を利かせるようになるだろう。女の生き方の雛型は、本当に時代とか社会状況に左右される。素朴な疑問なのだが・・・女にだけ「~あらねばならない」というプレッシャーがいつまでものしかかるのは何故だろう。


 「仕事仕事」で頑張って、子供を産まなかった女性も、一生懸命生きて来た。時代の潮流と違ってしまったからと言って、その人の生き方を否定するのは間違っている。そういう生き方を貫いてきた女性たちに少子化の責任を押し付け、A級戦犯呼ばわりするなどもってのほかだ。


 ~すれば幸せになれるという確実な道など、誰にとってもあるはずがない。人間である限り、試行錯誤しながら人生を歩いて行くしかしょうがない。それは男も女も関係ないはずなのだが。