東急建設、「本命」と報告 知事弟へ入札前 福島県談合


佐藤祐二容疑者宅

捜索を終え、佐藤祐二容疑者宅を出る東京地検の係官ら=26日午前3時30分ごろ、郡山市赤木町


福島県発注の下水道工事をめぐる談合事件で、工事を落札した準大手ゼネコン東急建設側が、佐藤栄佐久知事実弟の郡山三東スーツ社長佐藤祐二容疑者(63)、元同県土木部長坂本晃一容疑者(65)の2人に、入札前にそれぞれあいさつに訪れ、工事の「本命」に決定したことを報告していたことが26日、関係者の話で分かった。これを受け、両容疑者が最終的に話し合った結果、東急建設の落札が了承されたという。

 東京地検特捜部は、こうした最終調整への謝礼として、東急建設側が佐藤祐二容疑者にリベートを支払ったとみて、受注工作の詳しい経緯を調べている。

 調べでは、両容疑者は、知事支援者の辻政雄被告(59)=競売入札妨害罪で起訴=らと共謀。2004年8月に行われた県北流域下水道整備工事の入札で、東急建設と地元建設最大手、佐藤工業(福島市)の共同企業体(JV)に落札させるため、談合した疑いが持たれている。

 関係者によると、辻被告が東急建設を受注の本命に決定。東急建設側はその後、入札実施前に祐二、坂本両容疑者にそれぞれあいさつに訪れ、個別に本命決定の報告をしたとされる。

 これを受け、両容疑者が連絡を取り合った結果、最終的に両者で東急建設の受注を了承したとされる。
 祐二容疑者は逮捕前の聴取に対し、事件との関係を全面否定。一方、坂本容疑者は任意聴取に、談合への関与を認める供述をしていたとされる。

 坂本容疑者は、県土木部長に就任した1998年ごろから、祐二容疑者と密接な関係になったという。関係者は「県発注工事に関して、2人は頻繁に意見交換していた」としている。

 祐二容疑者は、知事の威光を背景とした県発注大型工事の「仕切り役」として知られた。一方、坂本容疑者ら歴代の県土木部長OBも、業者選定に大きな影響力を持つと指摘されている。

◎元土木部長宅、特捜部が捜索

 東京地検特捜部は26日午前、競売入札妨害容疑で逮捕された元福島県土木部長坂本晃一容疑者(65)=福島市=の自宅の家宅捜索を始めた。

 午前10時25分ごろ、係官2人がタクシーで乗り付け、坂本容疑者宅に入った。20分後、さらに2人が合流し、玄関のガラスに目隠しの布を掛けて捜索を始めた。

 近所の主婦(58)は「坂本さんは温厚な人柄で、事件にかかわっていたとは思えない」と残念そうに話した。
 一方、佐藤栄佐久知事の実弟で、同容疑で逮捕された郡山三東スーツ社長佐藤祐二容疑者(63)=郡山市=宅の捜索は、開始から約6時間後の26日午前3時半ごろ終了した。地検の係官十数人が断続的に訪れ、自宅や敷地内の三東スーツ旧工場、祐二容疑者の高級外車などを捜索。三東スーツ本社(福島県本宮町)の捜索も26日未明まで続いた。

◎建設技術センター廃止へ

 福島県発注工事をめぐる談合事件で、同県の川手晃副知事は26日、入札関連情報が恒常的に漏えいした疑いが浮上している県出資の公益法人・県建設技術センター(福島市)を廃止する方針を明らかにした。

 元県土木部長で同センター理事長を務めた坂本晃一容疑者(65)らが逮捕されたことを受けての対応。川手副知事は「歴代土木部長がセンター理事長に就任する慣行の中で、官製談合が疑われる事態になった。属人的な問題ではなく、システムの問題」と指摘し、3年から5年で廃止する前提で組織改革を進める考えを示した。

 同センターは県と県内市町村が出資して1978年に設立。自治体発注の公共工事の調査や設計、積算業務を受託している。理事長には県の土木部長経験者が就任する慣例になっているほか、課長以上の要職も県土木部の出向職員が占める。

 競売入札妨害容疑で逮捕された坂本容疑者は、逮捕容疑となった県北流域下水道工事の入札時に同センター理事長。センターから、談合の調整役だったとされる佐藤栄佐久知事支援者の会社社長辻政雄被告(59)側に入札関連情報が流れた疑いが出ている。

 東京地検特捜部は今月上旬、坂本容疑者の先輩格で、同センター理事長を務めた江花亮・元県土木部長(70)の自宅とセンターを家宅捜索していた。

◎知事弟ら拘置決定

 東京地裁は26日、福島県発注工事をめぐる競売入札妨害(談合)容疑で逮捕された衣料メーカー社長で、同県の佐藤栄佐久知事の実弟佐藤祐二容疑者(63)ら3人について、10月5日まで10日間の拘置を認める決定をした。

 調べによると、3人は佐藤工業(福島市)の会長佐藤勝三容疑者(67)=同容疑で逮捕=らと共謀。県が2004年8月に実施した下水道整備工事の入札で、東急建設(東京)と佐藤工業の建設共同企業体(JV)に落札させるため、他のJVが両社のJVより高い価格で入札するよう協定した疑い。

2006年09月26日火曜日




福島県談合 佐藤知事、進退明言せず 県議会に辞職の声も



佐藤知事

福島県庁に登庁し、報道陣への取材対応を終えて知事室に向かう佐藤栄佐久知事=26日午前9時10分ごろ


福島県発注の下水道工事をめぐる談合事件で、佐藤栄佐久知事は26日午前、実弟や元県土木部長が逮捕されたことについて「本当に驚き、県民に心配をおかけし心苦しく思っている。捜査の推移を見守っていきたい」と述べ、進退を含めた自身の責任については明言を避けた。県庁などで報道各社の質問に答えた。9月定例会の初日に当たった県議会は、事件への対応をめぐって各会派の協議が断続的に続き、午後1時に予定されていた本会議の開会が大幅に遅れた。

 県議会では、最大会派の自民党からも「知事の辞職勧告決議案を提出すべきだ」という声が上がるなど、「知事の辞職やむなし」の空気が広がった。事件は、知事の進退問題に発展する可能性が高まった。

 佐藤知事は、25日夜は郡山市の自宅にこもり、コメントを出すだけで報道陣の前に姿を見せなかった。佐藤知事は同日朝、自宅前と県庁で取材に答え、自らの姿勢について「原発問題などで国の方向にさおを刺すようなことをやってきた。身ぎれいにしながらやってきており、弟がそれは一番理解していると思ってきた」と従来の釈明を繰り返した。

 県議会では、最大会派の自民党や第2会派の県民連合が、冒頭で佐藤知事による状況説明が予定されていた本会議への対応などをめぐって幹部らが断続的に協議。自民党は、佐藤知事から説明を聞く全員協議会を本会議前に開催することを要望することを決め、渡辺敬夫議長に申し入れた。

 共産党県委員会と県議団は同日午前、「佐藤知事の政治的、道義的責任は免れない」として、政治責任と進退を自ら明らかにするよう佐藤知事に求める申し入れを行った。

2006年09月26日火曜日