江花元県土木部長宅から段ボール箱を運び出す東京地検の係官=5日午前5時15分ごろ、福島市天神町
くすぶり続けた疑惑はやはり事件になった。福島県発注の下水道工事をめぐる談合事件。東京地検特捜部の手は、佐藤栄佐久知事支援者の会社社長辻政雄容疑者(59)と県内建設最大手「佐藤工業」(福島市)の幹部の逮捕に加え、江花亮・元県土木部長(70)宅の捜索にも伸びた。強制捜査着手から一夜明けた5日朝、地元建設業界では捜査の行方をめぐり、うわさが飛び交い、県庁には職員がうつむきがちに出勤する姿があった。
「下水道だけで終わるか、あぶくま高原道路まで広がるのか。あるいはもっと…」。浜通り地方の建設業者は不安を募らせる。先月中旬からの特捜部の参考人聴取は、辻容疑者らの逮捕容疑となった県北流域下水道に加え、地域高規格道路「あぶくま高原道路」などの受注業者も対象になっていたからだ。
高原道路の主な土木工事は、すべて県内3社の共同企業体(JV)が元請け受注。JVの構成などの入札に参加すべきか―などについても、佐藤工業は“指導力”を発揮したとされる。
多くの県発注工事について、中堅以下の業者は「佐藤工業の力は群を抜いていた」「(佐藤工業と関係の薄い)外様の業者は受注難に苦しみながらも、工事の配分には何も言えない状態だった」と口をそろえる。
一方、県庁では職員らが一様に厳しい表情で出勤。報道陣の問い掛けにも「分かりません」と足早に職場に向かった。庁内の喫煙室などでは「朝からいろいろ問い合わせがある」「大変なことになったのかな」など、ひそひそ話が続いた。
県幹部は「県のイメージダウンになったのは間違いない」と暗うつな表情。県土木部は佐藤工業の指名停止処分の検討に入ったが、「いま判明しているのは同社から逮捕者が出たことだけ。捜査の推移を見守り、今後の対応を検討したい」(建設行政グループ)と戸惑いを見せる。
水谷建設(三重県桑名市)の脱税事件に着手してから約2カ月。関連捜査で浮かび上がった“福島疑惑”の解明は、「立件しやすい談合事件から始まっただけでは」(福島市内の建設会社)との見方が支配的。仕切り役とされる辻容疑者は、知事の威光を背に県工事ブローカーを自称していたとされ、今後は官側の関与が焦点になりそうだ。
2006年09月05日火曜日
