決められたことだけを淡々とする介護って、利用者から人間らしさを奪っていくような気がして凄く嫌だなって。
76歳男性、うまく言葉が出にくかったり、反応が乏ししい。
痛みのときだけ訴えがあって、声かけに対してほとんど応答がなかったのです。
家族と住んではいるけど、ほぼほぼ独居みたいなもんで。
部屋にはテレビの音だけずっと流れていて、ずっとベッドの上で過ごしているのです。
私がやることと言えば、ご飯とオムツの確認と尿破棄くらいなもんで。
だんまりして淡々とやることもできるんですけど、それが凄く嫌なので、色々話しかけてみたり、音楽を流してみたりしてるうちに、質問に対して返事をしてくれるようになって。
どんな音楽が好きですか?
と聞いたら、
フォーク、、、
と、絞り出すように答えてくれて。
食事の時は70年代フォークを中心にかけていました。
高田渡の「自衛隊に入ろう」なんか、凄い歌詞ですね笑って声かけたら「ふっ」って笑ってくれて。
ちょっとした冗談にも笑って答えてくれるようになりました。
ちゃんとコミュニケーションとれば、意思を発することができるようになるんだと思う一方で、、、
以前の介護士の関わりが彼の意思を奪ってきたのだということも分かったのでした。
どうやら、前の事業所のヘルパーは介護せず、食事もこっそり捨てていたようで。
本人から訴えられることがないことを見越してやってたんですよ。悪質極まりない。
独居で一対一の現場では、このようなことが起こりうるんですね。
恐ろしいです。活かすも死なすも、我々の関わり方は一つになってしまうこともある。
そんなこんなで、この利用者さんの食事中にフォークソングかけてたら、私までフォークソングが好きになって。
高田渡や友部正人、エンケンばかり聴いてます。
ついつい、ホコリかぶっていたたいして弾けないギターまで手にとってしまう始末。
私自身も、ギターを待って歌いたいなぁなんていう意欲を引き出されました。
音痴だけど。