大韓国際タワー1階
1階フロアに
辺りを見回しながら歩く
勝浦の姿があった
「とりあえずエレベーターで
上へ行くしかないな」
ドン
「!」
突然
背中を強く押される勝浦
「タコ!タコ!タコ!」
「!
タコさん!?
またアナタですか!」
勝浦の背中を押したのは
バス内で隣りに居合わせた
タコ男だった
「タコォ!」
「タコさん!
私に構わないで下さい!」
タコ男を払いのけ
エレベーターに向かう勝浦
「タ~コ~!」
後ろをついて来るタコ男を余所目にエレベーターの前へやってきた勝浦
「タコタコォ!」
タコ男はエレベーターを待つ
勝浦の後ろに張り付くように並ぶ
「…なんなんだこの人は」
呆れたように呟く勝浦
そして
何気なくエレベーター入口の
脇に貼ってあった
フロア案内を眺める
『30階一般専用展望階』
「え?
30階が展望階?
その上の階が無いって事か?」
ドン!
ドン!
「痛っ!!」
突然
タコ男が勝浦の背中を何度も叩く
「タコさん!やめて下さい!」
叩くタコ男の腕を抑えつける勝浦
「!?」
口からよだれを垂らしながら
在らぬ方向を見ているタコ男
不自然に感じた勝浦は
タコ男が見ている視線の先に目を向ける
そこには大韓国際タワーの
警備員が立っていた
「タッタッタコォ?」
タコ男はポケットから
『塔』のカードを取り出し勝浦に見せる
「タコさん
カードがどうかしましたか?」
タコ男はしきりにもう片方の手で
自分の胸を指差す
チン
エレベーターのドアが開く
タコ男の行動に
理解が出来ないまま
エレベーターへ
乗り込もうとする勝浦
乗り込む際
警備員の胸元に付いてる
ワッペンに何気なく
視線を向けた勝浦
「!?」
そのワッペンには
塔のカードと同じ『絵柄』が
描かれている
「タコさん!?」
驚きのあまり
今まで毛嫌った態度で
接していたタコ男に
視線を向ける勝浦
「タコタコォタコ」
しきりに頷くタコ男
「タコさん
よく気がつきましたね!
警備員の胸元に付いている
ワッペンの絵は
塔のカードの絵柄と同じだ!」
「タコォ~!」
「とりあえず一番上まで
上がってみましょう!」
一瞬にして意気投合した
勝浦とタコ
二人はエレベーターで
上がれる最も高い
30階に向かった
大韓国際タワー31階
招待客用の一室
その一室に
3人の女性の姿
黒髪で髪の毛を後ろに結び
チェック柄のスカートに
ブレザーを羽織った
身なりをしている少女
その少女は
『成田玲奈』だった
玲奈は部屋のソファーに
俯いて座っている
残りの二人
白と黒の色合いの
巫女のような身なり
30代前後の双子の女性
この二人は
『天魔双学会特別顧問』
天魔の使徒
『佐倉姉妹』だった
コン…
コン…
「!」
部屋をノックする音
ノックを聞いた玲奈は
ソファーから立ち上がり
入り口のドアへ向かう
「はい」
返事をしながらドアに付いている
スコープで部屋の外を覗く玲奈
「…どなたですか?」
玲奈の応対に一切反応しない
黒髪の女性
その女性はミレイだった
ミレイはスコープを睨むように
無言で立っている
ガチャ
仕方なく
ゆっくりとドアを開く玲奈
「アナタが成田玲奈さんね?」
ミレイは玲奈に
鋭い視線を向けながら
声をかけてきた
「…はい」
疑うことなく返事をする玲奈
「私は
『天魔双学会特別顧問』のミレイという者よ」
「ミレイ…さん?」
同じ信者でありながら
自分の記憶にミレイという
名前が出てこない事に
困惑する玲奈
不安げな表情を見せる玲奈に
構う事なく話しを進めるミレイ
「祖師から聞かせて貰っているわ
アナタは前回の闇遊戯で
『銚子勤』と一緒に参加した
信者達を救うべくして
今回の闇遊戯へ
参加したのよね?」
「銚子という男を
知っているのですか!?」
『銚子』という名前を聞いて
驚く玲奈
「祖師は銚子という男性を
このゲーム会場で探しなさいと
言われていました!」
ガタンッ
「!」
玲奈の逆質問を聞くなり
ドアを手で抑え
顔を寄せて睨みつけるミレイ
すると
「銚子?
あんなキモい男の事なんて
どうでもいいのよ
アナタは
『信者達を救い出そうと
しているのか』
という私の質問に
しっかり答えるべきだわ」
「勿論です!
そんな質問をアナタが私に
聞くだけ時間の無駄です!」
玲奈の返答に
目を細め軽蔑した眼差しで
睨みつけるミレイ
「時間の無駄?
それはアナタの事だわ」
「はい?」
「アナタが助けようとしている
リベンジ組の信者達が
今このビルの下で
予選をしている事を
アナタは知っているの?」
「予選!?」
ゆっくりと玲奈の頬を
細い指で触るミレイ
「早く現場に向かって
信者達を助けてあげないと
『予選で全滅するわよ』」
「そんな!
予選だなんて!」
突然
駆け足で部屋から出ていった玲奈
その後を追うように
部屋から出ようとする使徒と
ミレイが鉢合わせる
ミレイは使徒達に
深々とお辞儀をすると
丁寧な口調で話しを切り出した
「天魔の使徒様
ご無沙汰しております
お元気そうですね?
いや
『オーラの見えない』
使徒様達は
人間界では元気とは
言えないのですけど」
天使の使徒が満面の笑顔を浮かべ
ミレイに言葉をかえす
「ミレイ…
『観える霊』ですか?
『新たなアナタ』につけた
面白い名前ですね」
「冗談混じりに考えた名前です」
「アナタはとても優れた
『霊能力』の持ち主です
その能力を活かした才能
『サイコメトリー』は
他の人間を寄せ付けない
強力な力です」
ミレイが
首を傾げる素振りを見せる
「使徒様
今更何を言い出すのですか?」
「その才能に甘んじて
『傲ってはならない』
という意味です
現に祖師は
私達をここへ送り込みました
それは単純に
『アナタを信用していない』
と受け止めるべきです」
天使の使徒の言葉を
噛み締めるようなミレイの沈黙
すると
「…お言葉を返すようですが
使徒様がここに来られるのも
私のおかげですよ?」
「私達がここに来た事が
偶然だと?」
「いいえ
とんでもございません
使徒様の
『人知を超えた因果応報
カオスジャッジメント』の
才能あっての事です
祖師も
私を信用していない事は
確かです
ですが
使徒様の見解に
若干の間違いがございます
祖師が私を信用していない理由は
『私の才能ですら
太刀打ちできない
強力な相手』が存在し
今回の闇遊戯から
生還できる信用性に欠ける
という意味です
果たして祖師は
玲奈さんの護衛役として
使徒様を闇遊戯に
参加させたのでしょうか
ハッキリ言って
私は『館山仁を倒すべくして
使徒様を送り込んだ』と
考えております」
「フフ
信用性に欠ける理由など
どうでもいい話しですね」
天使の使徒は
満面の笑みを浮かべ
涼しげに言葉を返す
そして
玲奈の後を追うため歩き始めた
「それと…」
この場を去ろうとする使徒達に
声をかけるミレイ
「私は前回の闇遊戯の
獲得賞金で男から女に
性転換しています
この事は玲奈さんには
内緒にしてもらえますか?
くれぐれも
私の元の名前
『銚子勤』とは
呼ばないで下さい」
ミレイの正体
それは前回勝者となり
『五士』の一角となった
『銚子勤』その人だった
TO BE
CONTINUED