夜中になると、つぶやきたくなるのが、私の悪い癖です。Facebookをアウトプットメディアとして捉え、ちょっと実験を始めました。Facebookで“飲食店経営者向けの深夜ゼミナール”をデイリーでやってみよう!とおもったのです。毎週、月曜日に一週間分の【つぶやき深夜便】を再編集して、お贈りいたします。Facebookでは、原則、毎日つぶやいています。更新は深夜0時前後。リアルタイムで読まれたい方は、Facebookから友達申請してください。


1.【イノベーション】外食のイノベーション。いまの調達やマーチャンダイジング、FLコントロールを是として、いかにブラッシュアップしても、これからのマーケットでは勝てないよ。イノベーションとは、カネやマンパワーではできない。知恵の力でディメンションジャンプしなければならない。


2.【客引きについて】駅前のチェーン居酒屋の客引きを見て思う。店ばっかり増やし、スタッフを寒空に立たせ、人に喜びを与える企業って何? 客が店をつくるんであって、店が客をつくるんじゃない。本当のエンタメとは、客が主役になれて、心の底から居心地がいいと思えることではないか。店がどんな演出をしたって、客が主役になれなければ、楽しくも嬉しくもないじゃないか。


3.【有名経営者って何?】経営者が有名かどうかなんて、お客さんにとって、どうでもいいことです。お客さんは、この店おかしい、あり得ないと思ったとき、その店の経営者に関心をもつのですよ。クレームをつけるお客さんはまだありがたい。ほとんどのお客さんは、「沈黙」というかたちで意思表示するんです。そして、その店の前を黙って通り過ぎるんです。


4.【取材拒否から本当の取材は始まる】いい店をやっている経営者ほど取材を嫌がります。店への取材は受けても経営者はなかなか出てこない。それを引きずりだすのが私の趣味なんです。それこそがネタだから。自分から出たい、有名になりたいという経営者で、いい店をやっているところは少なかったです。有名になるとブレたり、変節したりする人も多いですね。取材拒否から本当の取材が始まる、これが私がジャーナリズムで教えられた真実です。


5.【オーナーの顔】完成度が高く、伸びている店って、オーナーの顔が見えないケースが実は多いんだよね。シェフ、マネジャー、スタッフ一人ひとりに至るまで、プロフェッショナル意識が高いから。オーナーはキャスティングとオペレーションを完成させれば、もう次の店の準備に入る。黒衣に徹してなかなか表に出てこない。


6.【不易流行ということ】繁盛店には二つある。一つは「不易」である。何十年も変わらない老舗名店。その変わらない味と雰囲気、そして世代は変わっても本質を受け継いだ大将や女将の人となりに、客は通い続ける。もう一つ「流行」である。それは一時的なものではなく、時代や人々のニーズやウオンツに応えながら進化し続ける店。ジョブズが言うように、「球があった場所」ではなく、「球が向かう先」を目指して客の心を引っ張っていく店である。二つに共通するのは、「普遍性」。飲食ビジネスにおいても「不易流行」は金言なのだ。


7.【ゲタを履かせてもらってる】中村仁さんがつぶやいてたけど、事業のスタートアップは、「ゲタを履かせてもらっている」という謙虚さ、そして感謝を忘れたらダメだね。裸足の実力を知る冷静さも必要。自分から高いゲタを履いて、最初から駆け回るような経営者は絶対に失敗する。飲食店開業の際は、まさにそのことを肝に命じるべきではないだろうか。そろそろ、協賛カルチャーからも卒業しないと、飲食経営者の質がさらに悪くなるのでは、と懸念せざるを得ない。


8.【家賃と売る力】最近、「投資早期回収型ビジネスモデル」が注目されている。要は、初期投資の低い居抜きで、家賃も安い物件で開業し、1年以内で回収しようというビジネスモデル。しかし、飲食はそんなに甘くないよ。初期投資や家賃が低ければ、儲かるなんて幻想だよ。「売る力」がないのに、早期回収型モデルを打ち出しているヤツらは問題だね。家賃は、月坪10万売る自信があるなら坪1万、20万売る自信があるなら坪2万を借りるべきだと私は言っている。月坪20万を売る実力がないのに、坪2万5000円、3万の家賃で店を始めるオーナーもダメ。肝心なことは自分の「売る力」が先だということ。それがあってこそ、家賃を低く交渉できるんんだよ!


9.【混沌ということ】荘子の寓話に「混沌」というのがあります。とても強くて皆から慕われていた「混沌帝」は目も耳も鼻も口もありませんでした。そんな帝に世話になった他の国の帝たちが、混沌さんの目と耳と鼻と口の7つの穴を毎日1個ずつ開けてあげた。そしたら、7日目に死んじゃったという話です。解釈はいろいろですが、私は「混沌」だからこそ、そのままでエネルギーが溢れていると思うのです。小賢しい知識や秩序を求め過ぎると、エネルギーは失われてしまうということです。この話は、飲食ビジネスに通じると思います。「混沌で、あるがまま」が大事なんです。横丁や大衆酒場、ワインバルの賑わいはまさに混沌。活気あふれる空気感は、まさに混沌ではありませんか!


10.【軸と回転】ゴルフは“軸”と“回転”。軸がブレると球も飛ばないし、方向も違ってきます。飲食店もそうです。店のコンセプトを立てたら、軸をブラしてはいけません。ゴルフでショットの軸が5ミリずれると、球の方向は5m以上狂うといわれています。縦の中心軸と横の回転軸。この矛盾する縦横の回転をいかにシンクロナイズできるか、そこがポイントです。


11.【客単価は客が決める】客単価は誰が決めるのか?客単価論はいろいろなセオリーがある。業態コンセプトが決まったら、次は客単価を想定し、客数を掛けて売上げシミュレーションをつくる。しかし、今は客が自ら「この店ではいくら使う」と決める傾向が強い。だから、「ここは4000円ぐらいかな?」という客に、4500円以上の価値を感じさせ、支払いは3500円以下ですませられれば、絶対勝つ。この“1000円マジック”が重要なんだ。


12.【伸びきったゴムになっていないか】繁盛し、活気のある飲食店は、弾力性のあるゴムバンドのように、伸び縮み自由自在。求心力も遠心力もあり、まさにエネルギーがみなぎる生命体そのもの。しかし、トップが方向性を誤り、求心力を失ない、売上げや店舗を増やすことだけが目的となってくると、組織も店舗も弾力性を失い、伸びきったゴムのようにエネルギーを喪失してしまう。完璧に原価コントロールされた料理、魂のないサービス、数字に縛られたオペレーションという歯車の回転作業に陥ってしまうと、お客さんは離れていってしまうんです。伸びきったゴムのような店には、いいスタッフも集まらない。あなたの店は、弾んでいますか?


13.【業態と企画を一緒にしちゃダメ】飲食店のニューオープンを取材していると、「新業態」というコピーを簡単に使ってしまう。私はいつも反省している。「業態」について、ある方からこう言われた。「業態とは売り方。売るものを変えただけじゃ新業態とは言えない」。なるほど、業態開発とは、売り方の仕組みそのものを変えることなんだ。売るものを変えるとか、コンセプトを変えるということは、要は企画に過ぎないんですね。そこを混同しちゃいけないということです。




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