神田で「一軒め酒場」を見つけたときは、びっくりした。均一低価格の居酒屋が勢いづくなかで、ここも徹底した低価格を追求しているのだか、チェーン店ぽくないし、手づくり感のある料理が多い。MDがしっかりしているし、オペレーションも個店レベルではない。

それで、調べてみたら、養老乃瀧グループの新業態だということが判明。これは、老舗チェーンの逆襲が始まったな、とコラムやブログでつぶやいた。

池袋本社の1階には、朝8時から営業の「一軒め酒場」が登場。2008年暮れに神田1号店をオープンしてから10店目。これで業態パッケージが完成したんだな、養老乃瀧グループ取材したいな、思っていた。そんなとき、養老乃瀧のトップを囲んで飲みませんかという誘い。願ったり叶ったり。

場所は、なんと「一軒め酒場」雪が谷大塚店だという。住宅街の居抜き物件。「一軒め酒場」業態、初の住宅街立地での実験店とか。

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話をしてくれたのは、養老乃瀧グループのY副社長。創業者のお孫さんで元バンカー。ブランクな方で、フラットにモノを見ている。ブランドへの矜恃を持ちながら、変化するマーケットへの対応力を見に着けたいということで、敢えて我々の前に出てきたのだろう。

宣伝しようなんて気持ちは感じられない。なぜいま、「一軒め酒場」なのかを率直に語る。「均一低価格をやらないのは、原価がちがう食材でそれをやるとポーションで調整するしかない」。その通り。一品一品の良さを打ち出せない。確かにそうだ。

「一軒め酒場」では焼き鳥を出さない。総合居酒屋と違うのはそこ。メニューを絞り込み、お酒に合う一品にこだわる。しかも、徹底した低価格で提供。例えば、「揚げたて」220円。専用のフライヤーでつくる厚揚げである。

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確かに、旨い!串カツも1本99円。

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雪が谷大塚店のみの串揚げ1本60円。

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ドリンクは、日本酒、サワー類190円~。客単価は1555円。「中高年のオアシスを目指す」以上、1600円を切りたかったという。既存の居酒屋がライバルではなく、立ち飲みやせんべろ系大衆酒場、餃子の王将や日高屋との戦いだという。

「一軒め酒場」は、2008初に企画。2008年12月に神田にオープン。雪が谷大塚店で18店目。地方展開含め、100店舗目指す。「我々は居酒屋チェーンではありません。酒蔵と言っています。居酒屋チェーンが出てくる前に回帰しているのかもしれません」。養老乃瀧は昭和31年設立、来年55年目を迎える。

確かに、80年代に生まれた居酒屋チェーンは、30年の一寿命を終えつつあるのかもしれない。酒蔵への原点回帰、目からウロコでした。








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