昨日の宇井さん(コロンブスの卵代表退任後は「宇井義行オフィス」代表として活動)主宰の「関東潤興外食産業研究会」で、ちょっとお話させてもらった藤間さん。「TOMAコンサルタンツ」という公認会計士税理士事務所(140名の集団)の代表。



藤間さんの経営指導のポリシーは、“理念〉ビジョン〉数字”だそうだ。「若い経営者は数字ばっかり追いかけて理念がない。だから一時的に伸びたとしても、すぐ行き詰まってしまう」と。その通りだ!



私なりに、飲食店経営者に置き換えて解釈し直すと、“理念〉ビジョン〉運営〉業態・商品〉マーケット〉数字”というところか。



確かに、経営者に理念やビジョンがなければ、人も組織も育たない。「経営者はまず、何のために会社を経営するのかという理念を語らなければならない」と藤間さん。



また、「経営者はそのためには、“アフォーメーション”が大事」だと言う。アフォーメーションとは、自己啓発の手法で、自分が成し遂げたいことや解決したい悩みや迷いを声を出して何度も唱える一種の“自己暗示”。



日創研などで行われている研修の一つでもあるようだが、これが藤間さんの指導の基本にもなっているようだ。



アフォーメーションは、一つ間違えば、“洗脳”となる。使い方を間違えば、社員を地獄に落とすことにもなる。メンタルの強い経営者が、理念をさらに強固にするためには有効だが、心の弱い社員にそれを強要すると客にとっては迷惑なロボットをつくることになる。私は、そう考えている。


藤間さんから「ぜひ、私のセミナーに来てくださいよ」と誘われたが、経営者でもなく、メンタルの弱い私としては、ご遠慮したいと思った。



私が経営者に薦めているのは、幕末の志士たちのバイブルの一つにもなった佐藤一齋の『言志四録』だ。“天は自分に何をさせたいためにこの世に生を与えたのか!”ということを常に考えて行動する。志を成し遂げるための行動の基準は、“天”という公から与えられた使命を果たすことである。そして、リーダーたるべきもの「“天”に恥じない言動をしていないかどうか」を自省すべきである。



飲食店経営者が日創研的なアフォーメーションに浸かり、染まることを懸念する。一流の経営者を目指すなら、もっと古典を読み、仏教、儒教、哲学に触れ、深い“人間学”を学ぶべきだ。会社を拡大するまえに、人間としてどうあるべきか、指導者としていかにいくべきかを考えることが大事なのではないか…。